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ニュース〜医療の今がわかる

植民地か独立か それが問題だ NC検討チームの議論2

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 バタバタしているうちに、会合から1週間経過してしまったけれど、11日の内閣府『独立行政法人ガバナンス検討チーム』の議論の模様の続きをお伝えする。キモは、上図左のような現行組織だと「主務大臣が主務官庁にすり変わってしまって、理事長は主務官庁を向いて仕事をせざるを得ないので、ミッションを向いて仕事できるよう右の仕組みに変えるべき」(大久保委員)という点が、チームの総意としてまとめられるかどうかだった。(川口恭)

 鈴木寛・文部科学副大臣
「民主党政権下での独法化というのは自民党時代と何が同じで何が違うのか整理し、独方ガバナンスの一つのサンプルとにして議論を深める機会と考えている。ただし我々はマニフェストの中で、独法というものを未来永劫続けるというスタンスを取ってはいない。そこをどう整合性を取っていくのかというのも必要な視点だろう。

 第一弾の改革として通則法の通常国会での改正という出口戦略と共に、大串政務官の言うことは教科書的にはその通りだと思うけれど、第一回の会合でも申し上げたようにデューデリジェンスきちっとしないと、貸借対照表の右と左が対応してない、デューデリきちんとしないまま3月を迎えようとしていることは大問題で、右左がグチャグチャのまま理事長を引き受けるのは、よほど変わった人か、別に思惑があるような人しかいないだろう。このままの状態では、真にいい人材を得られないのでないか。

 難治性疾患の方に最新の治療と薬とを提供するという中核的なミッションを負っているのがNC。その性格上、病院とは不可分であり収益の上がる部分は民間にというような話ではなく、研究所と病院とが一体のままである必要があるだろう。6つのNCに落とし込んでいく時間的制約の中で、かえすがえすもデューデリしっかりやらずに経営を任す、そんな人は見つからないはずだ。というのも株式会社とNCとで一つだけ決定的に違うことがある。株式会社の社長は、見事再建に成功したならば、それ相応の経済的インセンティブを得られる。しかしNCの理事長のインセンティブは何なのか。社会的名声は得られるかもしれないが、強すぎる理事長権限へのチェック&バランスの仕組みと並んで、理事や理事長のモチベーションもしっかり設けないといけないのでないか。

 本来のミッションを達成するだけでも相当に大変なのに、そのうえ患者の満足度を高め、職員の満足度も高め、借金も返済してなどということをできる人が世の中に存在するのか。こんな人を探すと空集合になっちゃうんじゃないか」

 近藤
「新しい研究を世界に向けて発信しなきゃいけないということについて、私もNCにいたが、研究費の配分に問題があると思っていた。政策的な研究はあって、それに応募を合わせていくというのはまあよいのだが、その他に個人的な興味とか自分のアイデアを試してみたいという場合は一般研究という形で研究費を獲得する必要があり、しかし評価する委員をすり抜けないと獲得できない。

 新しいことをやっていく、世界で初めてのことをやっていくというのと、委員の評価をくぐり抜けるということの間に根本的に齟齬があって、そういう気概がある人間は米国に行っちゃう。米国はよくできたもので、そういう創意工夫を引き出す道具を持っている。基金があって、評価委員会もあるけれど、それ以外にもある程度は総長や理事長が選択して渡すことができる。皆が無視するものでも中には大化けするものがあるかもしれないので、NCにもそういう自由を持たせてあげたい。お金の出所を預託して、そういう組織作りをしてほしい。

 借金を残すのがいいのか、チャラにするのがいいのかよく分からないが、合理的でフルに能力を発揮できる仕組みをつくってほしい。それから研究をちゃんとやらんのは指導することも必要だろう」

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