公費で、学校で、打つべき子宮頸がんワクチン がんセンターシンポから
会場(高校職員)
「予防接種は正直身近な感じがしない。学校でやっているものも主体的に考えてやっているかというとそうではなくて、長らく教育機関が上意下達で何十年も縛りつけられてきたために、自分たちでものを考えてやりきるようになっていない。逆に言うと、上意下達でやればスンナリ行くのでないか。これまでの弊害を逆手に取ればうまく行く。そういうものに頼るのは恥ずかしいことではあるが、現実的には早道でないかという気がする。もちろん、我々も内から改善していかなければとは思う」
(中略)
今野
「日本の学校がなぜ予防接種に消極的かと言えば、学校を悪者にしてきた司法があったから。司法が誰かを悪者にしても損害賠償が行われるだけで問題の根本的な解決にはならない。集団に対して予防接種をした場合、ある程度の因果関係の分からない紛れ込み事故は必ず発生する。欧米では、これを仕方ないものとして制度に盛り込んである。(中略)オーストラリアのHBVワクチンの例では全員対象にしてもクリニックで打っていた時には接種率が30%だったのが、学校で打つようにしたら接種率が90%になった。学校での接種もお願いしたいが、予防接種の一次予防と検診の二次予防がセットで機能するので、学校でがん検診の大切さも教育してもらいたい」
(中略)
土屋
「何か起きるとすぐ刑事責任を問おうとする輩がいる。今は神楽坂の新潮社が、霞ヶ関の悪代官とグルになってそういうことをしているが、我々医療者は知性を持って行動するのが一番大事だ。悪代官と言えば、東京女子医大の事件で無罪判決が出たS先生を、厚生労働省の医事課長が罰しようとしているとの話が出ている。とんでもない話だ。悪代官に負けてはならない」
会場(市民のためのがん治療の会・會田昭一郎代表)
「毎日のようにセカンドオピニオンを求める連絡があり、しかし厳しい状態の人も多く、挫折感にさいなまれる日々だ。初めてがんを予防する手段ができたと知った。これを何とかして普及したいという想いでいると同時に、これだけ効果のハッキリしているものを公費でやらないというのは一体どういうことかと思う。よその国で子宮頸がんが珍しい病気になった時に、我が国だけ蔓延していたら行政の不作為は免れない。その時になったら大量の国家賠償請求訴訟が起きる可能性もある。
そんなことを心配するより何より、がんにかからないということは、数々の幸せを奪われずに済むということで、それがハッキりしているのだから、これをやらない国にどういう意味があるのか。人の身体・生命を守るのが国の第一の責務ではないのか。そういうことを言うと、国は『任意で打てるようにしている』と言い訳をするだろうが5万円を出して打つ人は少なかろう。定期接種に持っていくことが必要だろう。それにしても、この場にも大勢のマスコミ関係者がいるそうだが、各紙社説を見てもこんな話は一切出ていない。情けない」