「地域医療がドミノ倒し的に崩壊」 ─ 中医協公聴会で窮状を訴え
■ 「24年度改定で薬剤師の病棟配置に評価を」 ─ 病院薬剤師
私は宮城県石巻市の市立病院に薬剤師として勤務しております佐藤と申します。よろしくお願いいたします。本院は病床数206床で、開院当時から入院患者さん中心の薬剤管理指導業務を行う医療サービスを提供しております。
1. 病棟薬剤師の評価
平成22年度の診療報酬改定では、病院勤務医の負担軽減におけるチーム医療の評価、後発品の使用促進に対する評価、がん医療の推進、感染症対策の推進、医療安全対策の推進、質が高く効率的な急性期の入院医療の推進として、薬剤師の配置に着目した評価の導入の検討などについて、改定の骨子に盛り込んでいただきましたことには感謝申し上げます。
しかしながら中医協において、「DPC病院での病棟薬剤師の配置については今回の改定で実施しない」とされてしまったことは極めて残念に思っております。
薬剤師は医療チームの一員として、医師、看護師らと共に患者状況を共有した安全な薬物療法の実現に取り組んでいます。最近では、医師から医薬品や薬物療法に関する相談など病棟での業務が多様化しており、今後、薬剤師が安全な薬物療法の実現を果たすために、その役割と責任がますます大きくなっていくものと考えております。
医師や看護師とは違う視点で、患者さんの安全面、特に薬の副作用を中心に、薬剤師が病棟において常に患者さんをフォローアップしていくことが大切と考え、取り組んでいます。
私たちは患者さんに近い場所で、安全な薬物療法の実施のためにもっと貢献したいのですが、薬剤師の人数が少ないので、どうしても仕事の兼務が避けられない状況にあります。
こうした状況をどうやって改善していくかを考えるとき、薬剤管理指導料のように行為に対する評価では十分ではなく、薬剤師を病棟に配置していることを評価することが適切だと考えております。
薬剤師は、病棟でより適切で安全な薬物療法を提供するために、平成24年度の診療報酬改定において薬剤師を病棟に配置することに対する評価を実現していただきますよう強く要望したいと思っております。
次に補足的になりますが、現在中医協で議論されているがん医療の推進については、キャンサーボード(がん治療の院内検討会)の一員として、薬剤師を加えていただきますようお願いしたいと思っております。
2. 後発品の使用促進
次に、後発医薬品の使用状況については、政府目標として数量シェアで30%以上と掲げられており、これまでにも処方せん様式の変更をはじめ、あらゆる促進策の取り組みが行われてきました。
後発医薬品の普及については、薬局薬剤師だけではなく、病院薬剤師も積極的にこれに取り組まなければならず、次回改定で後発品の採用品目数の割合に応じた評価が導入されることは歓迎すべきと考えております。
その一方で、医療提供側や患者さん側にとって全く不安がないわけではなく、急速には進まないというのも事実だと思います。「患者さんの不安を取り除く」ということについて現場として努力していくことは当然ですが、国民が安心して使用することができるように、政府広報などによる国民への周知も必要だと思っております。
また、地域の薬局の方々からは、調剤報酬について後発品の数量シェアに応じた段階的な評価を見直すことで、漢方薬のように「先発」「後発」という分類ができない医薬品を多く取り扱う薬局の場合には薬剤師の努力だけでは解決できず、その対応を心配する声も聞かれます。
さらに、後発医薬品が進むことに伴う備蓄、医薬品品目の増加と相まって、薬局の経営コストへの影響を心配する声が多く聞かれています。
こうした声を踏まえ、ぜひ薬局の経営を大きく圧迫しないようベストコストの適切な評価をお願いしたいと思います。これで意見を終わります。
【目次】
P2 → 県医師会理事 ─ 「診療所の再診料を下げて統一することに反対」
P3 → 歯科開業医 ─ 「初診料・再診料の大幅な引き上げを」
P4 → 病院薬剤師 ─ 「24年度改定で薬剤師の病棟配置に評価を」
P5 → 訪問看護師 ─ 「日ごろから制度にとても矛盾を感じている」
P6 → 公立病院長 ─ 「地域医療がドミノ倒し的に崩壊」
P7 → 開業医団体 ─ 「再診料引き下げは医療サービスの礎を崩壊」
P8 → 健保組合 ─ 「診療報酬の引き上げを行う環境にはない」
P9 → 連合福島 ─ 「医療過疎が極めて深刻な事態」
P10 → 透析患者 ─ 「先進国たる日本で医療の状況は異常」