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ニュース〜医療の今がわかる

患者の「知る権利」と「知りたくない権利」 ─ 明細書で激論

■ 「こういう方向でお願いしたい」 ─ 勝村委員
 

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 まず議論の前提として、私ども2号(診療)側はですね......(明細書発行には反対していない)。なんか、(同日付の)日経新聞では「一部医療機関は反対」という記事がタイミング良く出ていますけど、反対している人は誰もいないだろう。異論はないわけです、原則これは。

 反対というんじゃなくて、(明細書発行のためのレセプトコンピューターなどの)設定に当たって、(システム改修やソフト代など)ある一定以上の経費が掛かるものの扱いをどうしますかという疑問はありますよ、ということであります。(中略)

 ▼ 明細書を発行するために必要なコストについて説明。

 おおよそで考えますと、現行、日本中にある個人診療所のためのレセコンの半分以上......、たぶん6割近くは新たにソフトを入れないと明細書の発行ができないでしょう。

 そのうちの半分ぐらいは、3万5000円ぐらいのソフト代を払わないとその保証が付かないというのが、個人診療所に関してはそれが現状であるというふうにご理解いただいて議論をさせていただきたい。議論については、また後ほど私の意見を申し上げさせていただきます。以上でございます。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、ありがとうございます。(発行コストに関する)補足的な情報の提供ということであったわけでございます。それでは早速、議論に移りたいと思います。ご意見、ご質問ございますか。勝村委員、どうぞ。

[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
 前回(1月15日)、「議論の流れからして原案が非常に消極的なのではないか」ということを言わせていただきました。今回提示したいただいたものは、これまでの議論からして自然だと思っています。(中略)

 5年前、「中医協改革」と言われた時には本当に、「患者の視点を重視するんだ」ということがすごく言われていました。なので、患者に対して積極的に、中医協が決めている点数というものを見て、(明細書をすべての患者に)持っていただくということから、医療というものをみんなで考えていく、医療費というものを透明化していくということをしていきたかった、していくべきだと思っていましたので、(すべての患者に無料発行するという)こういう方向でお願いしたいと思います。(中略)

 ▼ 前回1月15日に厚労省が示した「現時点の骨子案」では、「明細書の発行が義務付けられる医療機関の対象を拡大する」との記載にとどまり、▽すべての患者に対して ▽無料で発行する─の2点が欠けていた。このため、勝村委員が事務局(保険局医療課)に激しく抗議した。今回の厚労省案は、勝村委員を含む1号(支払)側の意向をほぼ全面的に採用した内容になっている。(

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、ありがとうございます。ただ今、(DPCに関する明細書について、入院中に使用した医薬品や検査の名称を付記することが「望ましい」との記載を「原則とする」に改める)文言修正についてのご要望はありますけれども、それ以外については原案について賛成されるということでよろしいですね? 

 (勝村委員、うなずく) はい、ありがとうございます。(中略)


【目次】
 P2 → 「正当理由ない限り、全患者に無料発行」を提案 ─ 厚労省
 P3 → 「こういう方向でお願いしたい」 ─ 勝村委員(支払側)
 P4 → 「個人情報が出てトラブルを生じることを危惧」 ─ 渡辺委員(診療側)
 P5 → 「プライバシーが出るリスクが非常に高くなる」 ─ 嘉山委員(診療側)
 P6 → 「めちゃくちゃな患者さんが一杯いる」 ─ 邉見委員(診療側)
 P7 → 「保険者が全患者に渡すのが一番」 ─ 西澤委員(診療側)
 P8 → 「医療内容や価格を教えてもらう権利がある」 ─ 白川委員(支払側)
 P9 → 「無理矢理押し付けて渡さなければならないのか」 ─ 鈴木委員(診療側)
 P10 → 「いろいろな観点が混ざって議論の収拾が付かない」 ─ 小林委員(公益側)

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