患者の「知る権利」と「知りたくない権利」 ─ 明細書で激論
■ 「医療内容や価格を教えてもらう権利がある」 ─ 白川委員
[白川修二委員(健保連常務理事)]
えー............、非常に残念な発言......という印象なんですけども......。まず時々、2号(診療)側の先生方は「保険者が加入者に対してレセプト(診療報酬明細書)を公開すりゃいいじゃないか」という話を......、安達先生(京都府医師会副会長)も(前回)されましたし、(今回)西澤先生(全日本病院協会会長)もされたんですけれども......。
(声を荒げて)それとこれとは全然話が違うでしょ! というふうに私は何回も申し上げていると思うんですけども、私ども(保険者)は先生方、保険医療機関からレセプトを頂きますよ。ただ、これは医療側の了解がないと今は開示できないという法律になってるでしょ?
その話と......、「医療サービスを施した所がその場で明細書を出す」という話と、ちょっと混同されては困るということがまず1点。(診療側委員が挙手) いや、まだございますんで......。
それから、コストのことをよくおっしゃりますけれども、私どもが申し上げているのは基本的にいろんなサービスを私ども(患者)が受ければ、「どういうサービス内容でどれだけの価格だ」っていうことを教えていただくのは当然の権利でしょ!!
というふうに申し上げているわけで、それにコストが掛かるんであれば必要なコストとしてご負担いただくというのはごく当然だというふうに私は思っています。
それは、「診療報酬のいろんな項目の中で対応していただく」っていう手もあるし、医政局と言いますか、国からの補助金とかいろんな形で受けるという方法もありでしょうけど......。
その話と、「原則、我々がそれを教えていただく権利がある」という話とはレベルが違う話だというふうに思っております。(診療側の西澤委員が「よろしいですか?」と挙手) いや、まだありますんで。
▼ 患者は、診療内容を開示するよう求める「作為請求権」だけではなく、知りたくない情報を開示しないように求める「不作為請求権」も共に有すると考えられないか。
もう1つは、「明細書発行体制等加算」についていろいろご発言がありましたが、安達先生がおっしゃる通り診療所......、あるいは渡辺先生(日本歯科医師会常務理事)がおっしゃった通り歯科診療所で明細書の発行機能を持っていないレセコンが多数あることは十分承知しておりますし、従って、来年の4月から全部、100%やれと言ってるわけじゃない。
「いついつまでにやれ」という期間も書いてないわけですから、気持ちとしてはなるべく早くやっていただきたいですが、現状はよく分かっています。ただ、そういった(IT化が進んでいない)所に早く明細書発行機能を持ったレセコンを入れていただくために、この加算を付けるということについても賛成しているわけです。
それを......、(語気を強めて)「病院のほうにもくれ!」というのはですね、ちょっと本末転倒だと。本来はこの点数もいらないと私は思っているんですが、ぜひ進めていただきたいために診療所に限ってはやむを得ないかなという判断をしている、ということでございます。いろいろ申し上げましたが、以上でございます。(中略)
▼ この後、西澤委員が反論して両側がヒートアップ。「保険者も患者に情報を提供するよう努めるべき」という趣旨の発言を1号(支払)側は「責任転嫁」と受け取ったのか、議論は紛糾。
【目次】
P2 → 「正当理由ない限り、全患者に無料発行」を提案 ─ 厚労省
P3 → 「こういう方向でお願いしたい」 ─ 勝村委員(支払側)
P4 → 「個人情報が出てトラブルを生じることを危惧」 ─ 渡辺委員(診療側)
P5 → 「プライバシーが出るリスクが非常に高くなる」 ─ 嘉山委員(診療側)
P6 → 「めちゃくちゃな患者さんが一杯いる」 ─ 邉見委員(診療側)
P7 → 「保険者が全患者に渡すのが一番」 ─ 西澤委員(診療側)
P8 → 「医療内容や価格を教えてもらう権利がある」 ─ 白川委員(支払側)
P9 → 「無理矢理押し付けて渡さなければならないのか」 ─ 鈴木委員(診療側)
P10 → 「いろいろな観点が混ざって議論の収拾が付かない」 ─ 小林委員(公益側)