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ニュース〜医療の今がわかる

「いいチームになった」 ─ 揺れた中医協の診療側に一体感

■ 「歯科の審議が少なく、消化不良だった」 ─ 渡辺委員
 

[渡辺三雄委員(日本歯科医師会常務理事)]
 それではあの......、歯科を代表して、私、2号(診療)側委員として出ております渡辺でございます。今回の改定の経過を踏まえて、感想ないし考え方を述べたいと思います。

1. 全体的な感想
 まず1つに、今回改定の中で歯科の問題について審議する場が大変少なかったというふうに思います。そういう意味でですね、「消化不良の中での審議だった」という感じがしております。

渡辺三雄委員0212r.jpg 我々歯科診療所というのは、ご存じのように約6万8000診療所ありますが、この診療所がですね、日本の歯科医療のほとんどを支えている。その二次医療機関として支えているのが病院歯科という形の構成になっておりますが......。

 ご存じのように毎日ですね、今日も明日も翌日も、毎日100万から120万ぐらいの......、日によって違うでしょうが、患者さんが診療所を訪れて診療を受けている。患者さんのニーズがある。
 そういう状況の中で日々、歯科診療を提供しているわけですよね。そういう歯科診療所の今の状況を見てみますとですね、非常に厳しい状況です。

 今朝の新聞でも......、時間が早いために......、中医協に出るために見られませんでしたけれども、ニュースに......、ニュースというか特番でしょうかね、朝の番組に歯科の問題が出ているのがありました。「非常に厳しい状況の中で」という記事と言いますか、番組があるのを目次だけ見て(今日の中医協に)まいりましたけれども......。

 あの......、実際にですね、あの中医協の中でもお話ししましたが、10年前に比べて歯科診療所の収支というのは約12%も落ちてるんですね。それから、20年前に比べますと31%も落ちている。そういう非常に厳しい中で、しかし新しい機械、機器はどんどん後から出てくるんですね。
 
 それを多用して、きちっと患者さんに的確な診療をするために新しい機器を入れる。今回(新たな加算として)、レーザーについてのものもですね、(手術時歯根面レーザー応用加算40点が)一点入りましたけれども、そうしたものを入れるにも相当高額な金額がかかる。しかし、なかなか点数が付かない。そういう状況でありますけれども......。そういうことで、厳しいながらも、非常に合理化する中で何とか耐えているという状況です。

2. 今後の課題
 そういうことで、今回は(歯科の改定率がプラス)2.09%でありました。これについては大臣が確か記者会見でお話しされたと思いますけれども、それを張り付ける部分というのは技術料に対して行われるということで......。

 歯科の技術はですね、ほとんど歯科診療(報酬)の93%か4%はもう技術料なんですね。ですから、そういう所に張り付きます。そういう状況でですね、決して(歯科への配分が)濃いというものではございませんので、そういうご理解をいただきたいというふうに思います。

 また、歯科の私たちの努力でですね、ご存知のように「8020」という、80歳で20本の歯を残してしっかりかめる。健康を保持する。その「8020」を達成している方の健康状態はどうか......、いろんなデータが出ております。今後ですね、そうしたデータも出しながら、理解を深めて、一定の......、求めていきたいというふうに考えております。

 そういうことでですね、決して歯科だけしっかりやっていれば、歯科はいいというわけではございませんで、患者さん全体の身体にいい影響を与える。同時に、若干、医科の入院にかかるときも意見を述べさせていただきましたけれども、きちっと口腔の管理をすることによって、術前から、手術をする前から管理をすることによってですね、退院の日数が短くなるという、これも病院の研究をしているデータで出てきています。

 今回の審議の中で、「エビデンスに基づいた審議をしていく」という流れが出てきたと思います。そういう意味でですね、今後の中医協の対応といたしましては、我々もしっかりとしたエビデンス、あるいは調査に基づいたデータ、タイムスタディー等を出してですね、的確な評価を求めていきたいというふうに考えております。

3. 初・再診料について
 それで、具体的な今回の改定の中身で、先ほども(中医協で)1点申し上げましたが、基本診療料の初・再診(料)の引き上げにつきましてはですね、あのペーパーには記載されておりませんでしたけれども、検査項目の50点の評価があるスタディーモデルを包括する。

 それから、医学管理、要するに管理料の中でですね、初診にかかわる部分で20点をそこに充てていくという、そういう中身なんですね。そういうことで引き上げはされましたけれども、(包括という)そういうことを考えますと、決して十分ではないし、医療現場はそういう状況を踏まえればですね、決して満足されるものではありませんので......。

 今後、これは医科も歯科も、基本診療料というのはまさに医師、歯科医師の基本的な技術に対する評価であると同時に、病院あるいは診療所における運営経費を支える重要な項目ですので、そうした議論を歯科についてもしっかりとやっていただきたいということを要望したわけです。今後ともそれを主張していきたいと思ってます。

 それからもう1点、皆様方、「なかなか細かいことだ」ということで分からないかもしれないのですが、歯科においてですね、診療をしていく中で「患者さんのためにこれをしたい」と思っていても制限があってできない内容が多々ございます。
 こうしたものもですね、具体的に今後提示していきながら、円滑に患者さんにしっかりとした診療が提供できるようなですね、そういうシステム、診療報酬体系、そうしたものをつくる方向に向けてですね、提言もしていきたいというふうに考えております。今後ともご理解をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

[邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)]
 ありがとうございました。私も感想を申し上げたいと思います。


【目次】
 P2 → 「中医協を改革する」 ─ 診療側に一体感
 P3 → 「まだまだ納得できるものではない」 ─ 三浦委員(日薬)
 P4 → 「再診料の引き下げは残念」 ─ 鈴木委員(茨城県医師会)
 P5 → 「誤解の下で議論や対立があったことは残念」 ─ 西澤委員(全日病)
 P6 → 「日本の制度疲労が一番露呈している場が医療」 ─ 嘉山委員(山形大)
 P7 → 「元凶は財務省、越権行為のように踏み込んだ」 ─ 安達委員(京都府医師会)
 P8 → 「歯科の審議が少なく、消化不良だった」 ─ 渡辺委員(日歯)
 P9 → 「肉体はしんどかったが精神的には楽しかった」 ─ 邉見委員(全自病)

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