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ニュース〜医療の今がわかる

赤信号みなで渡れば合法になる


 休憩を挟んで、内田健夫・前日本医師会常任理事のコーディネートでディスカッション=写真。
内田
「医療現場に警察や検察が入ってくることには違和感がある。患者さんとしてはどうか」

齋藤
「事件後も、診療所の患者は減ってない。須田先生は患者から家族から見ても信頼がある。法や警察が出てきても間に入る余地はない。十分に満足している。法や警察が出てくることにどうも違和感が湧いている」

内田
「現場の医師としてはどうか」

濱木
「患者さんにとってよい方向に向くように仕事しているつもりだが、その時々の状況やバクグラウンドを共有しない人が入ってくるかもしれないと思ったら、普段から動きづらくなって、かえって患者さんによい方向で動けなくなる。正直イヤだ」

内田
「医療そのものの方向も歪められそうだ」

大磯
「イヤだから入ってほしくないというのでは理由にならない。警察という権力がわざわざ出てきて、それが国民の利益になるのかならないのかということを考えないといけない。この10年は明らかに警察・検察が不当に入りすぎていた。だからといって一切入るなというのはいかがなものか。殺人罪とか業務上過失致死のような医療を想定していない法律でやるから歪になる。どこまでやるべきか区分けする必要はあるだろう」

小松
「警察も法に従って動いているので、入るなと文句を言うのは気の毒な感じがする。検察もこの10年でもの凄く傷ついた。彼らの考え方の基本の、あるべき論にムリがある。別の決め方やルールが必要なんだろうと思う。医療者と患者がしっかり話をできるように、医療者の側でも自分たちで決めないといけない」

(中略)
内田
「患者さんや家族にとって、病気というのは非日常のこと。医療者にとっては日常のことだけれど、非日常のことであれば、その場その場での多様性や個別性が大切になってくると思うが」

恒松
「看護師は、他の医療従事者に比べると、職務上、患者さんと会話をする機会が多い。しかし、たくさん聴いていても看護記録に残しておかないと、患者さんの気持ちを周りに説明することができない。忙しさの中で、あるいはその人の価値観や感性で、患者さんの気持ちを伝えるという気持ちが持てなければ抜け落ちてしまうかもしれない」

内田
「そもそも医師は看護記録を余り読まないのでないか」

濱木
「私はよく読む方だと思う。読むことによって自分の考えの偏りが取れてバランスが取れるかなと思うから。ただ最終決定は自分で下さないといけないので、書いてあっても、必ずしもその方針を選ぶわけではない」

小松
「今は看護記録を読むようになっている。医療機能評価であまり評価できることはないのだけれど、それは最大のよいこと。今はカンファランスにも看護師が入るし」

須田
「たしかによく読む。ただ、いざ司法が入ってくると、看護記録すら医師に書かされたんだろうというイメージなので驚く」

内田
「過去の古い知識で失礼した。ところで司法の場で真相究明はできるのか」

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