村重直子の眼11 薗部友良・VPDを知って子供を守ろうの会代表(下)
村重
「これは見てきた印象なんですが、国の行政や政策を決めるのはエビデンスがない所に線引きしなければならないじゃないですか。本来ならば、それは国民のコンセンサスがここにあるだろうというのを、国民の声を受ける政治家が決めればよいのだと思います。政治家の判断で決めると言えば、国民の皆さんも科学的にどうこうではなくて皆のコンセンサスで、あるいは政治家のリーダーシップで決めたんだなというのが分かると思うんです。でも今は会議も、補償制度や報告制度も、ほぼ完全に役人が運用していて、あたかも役人が全部責任を取るかのような思いでやっていると思いますけれど、その弊害が大きいのです。政治家ならばこの辺がコンセンサスであろうとバシっと線を引いて、でも間違っていれば違ってた人が入れ替わって、他の人が作り直すということができるわけですけれど、役人が決めてしまうと、その判断に対して責任を取らない認めない、官僚の無謬性が優先されます。過去の過ちを認めないので、改善していくことができないのです」
薗部
「官僚は先輩の間違いを絶対に認めないと言いますね」
村重
「それは官僚が替わらないからです。ローテーションはしても、同じ役所の人間で人事を握られている立場です。変わることを認めない人たちが、決められるはずのない線引きを無理に決める、だから科学の仮面を被せたいんですよね。自分たちが責任を取りたくないから。そのために、審議会や検討会で一応専門家の先生方が出席して、専門家が了承してくれたという事実をもって科学の仮面を被せますが、実は社会的な判断をしているんですね。だからこの構造にある以上、自由な専門家の意見とか、本当に科学的な判断とか、データなどは、線引きに反映されないんですよね。どちらかというと、本当は科学でないものに科学の仮面を被せるのに都合よく使われてしまっている。この構造をいずれは何とかしないといけないと思っています」
薗部
「そのことも含めて、免責の中に厚労省の方の免責も入れてあげないと、結局責任ばっかり問われるとなれば取る行動は決まってきますね」
村重
「人間ですからね」
薗部
「だからそういうものに対しては、本当に一生懸命やっていて、たまたまその時に携わっただけの人に責任を押し付けるということ自体が大きな問題ですね。厚労省に限らず、お役人の方が本当に国民のために動けるシステムづくりをしてあげない限りはいつまでたっても続きますね」