医療政策に総意形成プロセスを-森臨太郎氏インタビュー②
■「皆で決める」ための情報共有
森
「こういうのを英国では『シェアド デシジョン メイキング(Shared Decision Making)』と言います。『インフォームドコンセント』と言われてきましたが、例えばアメリカだと『これだけのオプションがあります。さあどれを選びますか』と言われます。でも患者は『そんなこと言われても』と困るわけです。僕らは『シェアド』、つまり情報を全部共有した上で、決めるのは私たちなんです。みんなで決めるんです。一般の方への情報が偏っているのは事実ですが、それを偏らせないには翻訳が必要です。その翻訳する機構がいくつもいりますけど、その限界を知った上でどうやってみんなで方向決めていくのか、という事じゃないかなと思います」
熊田
「結果としての選択肢がたくさんあって『どれにする』、ではなくて過程そのものに参加できるというのが大きいと思います」
森
「確かにそうです」
熊田
「日本のガイドラインは利権構造の中で生み出されているものに見えます。その治療なりで有名な医師の名前で作ったり、権威づけとかに使われたりしている気もします」
森
「ガイドラインの世界だけでこの考え方がおさまっているようでは変わらないと思います。大事なのは、裏にある考え方ですよね。英国では『診療ガバナンス』と呼びますが、診療におけるガバナンスのあり方、それが一番大事ですよね。ガバナンスを突き詰めていくから根拠に基づく医療になるのであって、根拠に基づく医療だからガバナンスになるというわけではないんですよ」
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