村重直子の眼13 大西睦子・ハーバード大学歯科医学校研究員(下)
村重
「プロ並みのダンサーたちと一緒に踊っておられるのですね」
大西
「プロか、プロをめざしている人かなと思っていたら、先生が『一緒だよ』って言うのですよ。踊っているダンサーはほとんど、MITやハーバードの学生さんや関係者の人たちだったんです。MITの教授も踊ってて、本当にびっくりしました。、みな一緒だから君もできるよって言われた意味がよく分かったのです。それで私もやってみようかなと、迷い始めました。それでも色々なやり方の違いがありそうですし、それにみんなと練習するにしても英語がよく分からないし、万が一グループのクラスで先生に質問されても、みんなは分かっても、私だけ何を質問されているのか分からないと恥ずかしいし。まず週に1回くらい個人レッスンを受けるということから始めました。半年ぐらい続けていたのですが、MITのチームのメンバーがチームに入ってくれというのを直接言いに来てくれて、決心して、じゃあ入ってみようかなと、それが始まりだったんですけど」
村重
「そうだったんですか。ところで、チームって何ですか」
大西
「MIT所属の競技選手を育てます。チームには、初心者から、中級者、上級者みたいなクラスがあって、MITの学校の中でいつも受けられるので、自分のレベルに合ったクラスに参加し、そのレベルの競技会に参加できるのです。チームのTシャツやジャケットもありますよ。月に一度、一般の人に公開しているダンスパーテイーもあります。MITの大きな講堂であるのですが、チームのメンバーは、受付や音楽、軽食の準備などの仕事をしなければなりません。そこでもいろいろな知り合いができますし、アメリカの文化を知ることもできますし、パートナーも見つけられます」
村重
「その日その日、来ていた人と踊るのですか」
大西
「クラスは、ふつうペアで参加している人が多いです。でもパートナーのいない人もいますから、その場合はそのとき誰かとペアを組みます。ただMITのチームに所属するには規則があります。MITの関係者は誰でも所属できるのですが、それ以外の場合でチームに所属するためには、競技ダンスができること、パートナーがMITの人という条件があります。ハーバードにもダンスチームはありますが、MITはチーム所属の先生が優秀なので、ハーバード関係者でMITに所属しているひともたくさんいます。でも、まあ1回入っちゃえば、パートナーが途中でいなくなることもあるので、所属は結構簡単に継続できます。私も前のパートナーと解消してから半年以上もパートナーはいませんでしたが、チームにいても誰も文句を言う人はいませんでした。それどころか、ちょっと離れていると『最近、どうしてムツコはいないの』なんて話になるのです」