「医療安全対策」の報酬はいくら?
■ 「積み上げの試算はやりたい」 ─ 安達委員
[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
入院基本料も外来管理加算も初・再診料......。
特に初・再診料や外来管理加算は、要素がはっきりしないがゆえに「意義付け」という曖昧な考え方の中で財源論に埋没せざるを得なかった。
▼ 民主党のマニフェスト(政権公約)にもかかわらず、「外来の改定財源400億円」という枠が年末の大臣折衝ではめられたことは診療所にとって痛かった。10年度改定で診療所の再診料が71点から2点引き下げられた一方、病院の再診料が60点から69点に上げられた結果、病院と診療所の再診料は69点で統一された。しかし、開業医を代表する立場として「病診統一」に合意してしまったことも敗因。「診療所の再診料を下げるな」とだけ言えばよかった。また、病院と診療所の再診料について、「同一のサービスではない」、「再診料に含まれているコストは病院と診療所で違う」と主張する方法もあった。
我々としては基本的に入院費等のオペレーティング・コストや(建物・設備等の)キャピタル・コストがどれだけ含まれていて、技術料がどうだということを一度、やはり積み上げの試算はやりたい。
出てきた数字が現在の点数に比べて過大に大きくなったときに、「こうだから、それをすぐ下さい」という乱暴な議論をするつもりはありません。
▼ 「乱暴な議論」だろうか? コストが点数に見合っていなければ、その分を寄こせと主張してもいいのではないか。
つまり、総枠の診療報酬改定の原資がある中で、全体のバランスの話ですから。
▼ あれ? 診療側は「医療費の総枠を増やせ」という主張ではなかったか。
やはり一度、意味しているものは何で、何に対する対価で、その数字はきちっと出したいということは強く思っております。
[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
整理しますと、コスト分析はしたいと、コスト把握はしたいと。そのコスト範囲は基本診療料に入っている初診料・再診料、入院基本料、そういった内容、そういう理解でよろしいですか?
[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
はい、そう申し上げました。
[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
そのとき、実勢のコストを探るか......。それでもよろしいわけですか? 実際の......。
[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
オペレーティングもキャピタルもですか?
[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
はい。
[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
基本的には、やはりそうなりますね。
[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
そうですね、分かりました。原価計算を行うということですね。(中略)
▼ この後、邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)もコスト調査の必要性を主張した。
【目次】
P2 → 「診療側VS支払側・公益側・厚労省」の中医協
P3 → 「入院基本料」の議論など優先課題を合意
P4 → 「積み上げの試算はやりたい」 ─ 安達委員(診療側)
P5 → 「コスト調査はものすごい手間が掛かる」 ─ 白川委員(支払側)
P6 → 「診療報酬点数を分析して議論すべき」 ─ 西澤委員(診療側)
P7 → 「余分な時間があったら、現実的な話を」 ─ 白川委員
P8 → 「正しい情報を出していく」 ─ 嘉山委員(診療側)
P9 → 「あるべきコストは何倍にもなる」 ─ 遠藤会長
P10 → 「挙証・反証という構造で議論を」 ─ 森田委員(公益側)