「患者がつながれば、医療者も救われる」 豊岡通信vol.1
■医療者と患者の交流にも
「すまいる会」は患者同士の交流だけが目的ではない。地域の医療者にロービジョンケアについての知識を得てもらい、患者と交流してもらうねらいもある。
午前中は医療関係者向けにロービジョンケアについての説明や、国内での取り組みが紹介された。網膜色素変性症などの患者から現在の見え方や体験談が医療者に向けて語られ、「家族にも分かってもらえない現状があって孤独。頼るのは眼科や視能訓練士、ほかは患者会。病院から色々な情報を教えてもらいたい」、「病院の人から、『こういう機器があるので便利』とか一言でもあれば。たくさんの人と繋がるところへ紹介してもらいたい。見えなくなっても『それでもいろんな方法がある』と言ってもらえると助かる」といった意見があった。
午後から行われた患者や家族とのグループディスカッションには医療者も加わり、生の声に耳を傾けた。京都府内から参加した視能訓練士の金田一弥さんは「普段は病院の中にいて、外来でのコミュニケーションしかないのでゆっくり患者さんの話を聞いている時間がありません。ここで患者さんたちが普段どんなことを考えているかを聞きたいと思って来ました。本当に参加してよかったです。あんなふうに楽しそうにご家族が話しておられる姿が、自分たちの目指すところだと思いました。ここで得たことを日頃の臨床に取り入れていきたいと思います」と、医療現場での会話だけでは分からない家族の問題など、生活者としての患者の悩みを聞くことができたと話した。
同じく京都府内から参加した視能訓練士の男性も「自分たちの地域でもこういう院内サロンをやっていきたいという考えもあるので、ここでどんなふうに病院や当事者、全体がつながって動いているのかを知りたいと思って参加しました。これだけのパイプがあるのが分かりましたし、相当な努力があったんだと思います。公立病院でこれだけのことをやっているのはすごいと思います」と話した。