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ニュース〜医療の今がわかる

医療計画への取り組み ~ 千葉県の事例 ~

■ 医療提供維持のための千葉県の課題
 

【千葉県健康福祉部・井上肇理事】
 こうした中での千葉県での医療提供体制の維持のための課題として、特に大きなものを以下4点挙げています。

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 1番目は、先ほど説明したような背景による医療人材の確保。特に看護職員・介護職員をいかに確保するかを5年、10年という長期的な視点で我々は見ています。

 2番目は救急体制の維持。いわゆる5事業と呼ばれる事業の中でも、高齢化の進展が最も影響する分野は救急体制の維持で、半年前といま、いまと半年後、月単位でこの救急体制の維持の困難さが厳しくなってきていることを我々はひしひしと感じています。

 3番目は、在宅医療の推進。現状のままで高齢化が進むと、おそらく病院で診られることには相当制約が出てきます。在宅で診られるものについて、いかに在宅で診ていくかということは今後の大切なテーマだと考えています。

 このことは、単に医療提供体制を確保するという観点から大切なのではなくて、県民にアンケートを取ると、「どこで死にたいですか」「どこで最後を過ごしたいですか」で、病院で死にたいという人はあまりいません。県民の大多数の人が、自宅で最後を迎えたいと希望しており、それに沿う施策を取りたいと考えています。

 4番目は高齢化が進展してくると、いままで取り組んできた4疾病に加えて、新たなチャレンジが増えてきていると感じています。もはや脳卒中・心筋梗塞・がん・糖尿病だけをやっていればいいのではない。5年、10年というスパンで見ると、新たな課題が浮かび上がってくる。

 我々はそれを特に3つ取り出しています。1つ目は認知症。2つ目は最近はLocomotive syndromeという言葉でも呼ばれるようになってきた運動器の疾患。いかに最後まで身の周り、自分で歩けるようにするか。3つ目は終末期のあり方。これは医療の受け方、過ごし方といったことの県民への啓発も含めた終末期のあり方を、4疾病に加えた今後の課題の柱の1つとしなくてはいけないと考えています。

 そうした中で、今年の4月から組み変わる保健医療計画は、まだ正式な承認をされていませんが、ほぼ最終形のものが出来上がりつつあります。その中で、千葉県はほかの県と比べて、こんな特徴を持っていますという取り組み事例を3つご紹介します。
 

【目次】
 P2 → 千葉の保健医療課題等
 P3 → 今後の50年間が高齢化という観点
 P4 → 高齢者人口がどこで増えているか
 P5 → 首都圏3県の医療資源
 P6 → 医療提供維持のための千葉県の課題
 P7 → 千葉県取り組み事例①
 P8 → 千葉県取り組み事例②
 P9 → 千葉県取り組み事例③

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