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メタボリックシンドロームお前は何者?

内臓脂肪の働きはこんなことです。
15-1.1.JPG 内臓脂肪が体を制御する様々な物質を出していると説明しました。どんな物質なのでしょうか。
 現在、分かっているものだけで、満腹中枢に作用してエネルギー摂取を抑制させる作用のある「レプチン」、血を固まりやすくする作用のある「PAI-1」、血中の糖分を細胞内に引きこむインスリン(06年1月号「糖尿病」特集参照)の作用を妨害し炎症を起こす「TNF-α」、同じくインスリンの作用を妨害する「レジスチン」などがあります。
 また、最近特に注目されているのが「アディポネクチン」。血管の傷みを修復する働きや、インスリンの作用を高める働きなどのある「善玉」サイトカインです。
 このラインナップを見ただけでも、内臓脂肪がいかに重要か分かりますね。そして、面白いことに、脂肪組織が大きくなったからといって、すべての分泌量が増えるわけではなく、アディポネクチンのように分泌量の減ってしまうものも少なくありません。
 結果として、内臓脂肪組織が大きくなりすぎると、血管が傷みやすく、血が固まりやすく(いわゆるドロドロ)、インスリンの働きが悪くなる、こういう状態になります。また、内臓脂肪が多くなると、血中の中性脂肪値が高くなります。
 これが何を引き起こすかといえば、動脈硬化であり、高血圧であり、糖尿病であり、高脂血症です(上図参照)。オールスターキャストのそろい踏みといった感じでしょうか。要するに、内臓脂肪を溜めすぎたということは、体を壊す臓器を新しく体に持ったようなものです。
 なぜ内臓脂肪が増えすぎると分泌異常が起きるのでしょう。
 ハッキリとは分かっていませんが、想定外の事態に体がビックリして暴走してしまうのだ、と考えられています。想定外というのは、自然界の原理に従っている限り、内臓脂肪が過剰になるなんてあり得ないからです。
 これは内臓脂肪の増える絶対条件が、運動不足であることからもうかがえます(コラム参照)。
 つまり本来、食物を得るためには自ら体を動かさなければならないはずで、体を動かしてさえいれば、少々食べ過ぎたとしても、皮下脂肪への蓄積で調節が利くようにできているのです。そして、食物を得るのに自分で動かなければならないとすると、ある程度満腹になった段階で、もうそれ以上は求めなくなるはずなのです。野生動物を見れば明らかです。
 体を動かさずに食べたいだけ食べられる、そんな時代が来るとは、進化の中で想定されていなかったわけです。現代はそれだけ恵まれているのであり、豊かさに感謝するとともに、「自然でない状態で生きている」ことを自戒する必要もあります。

太っていても力士は大丈夫。  太っている人の代名詞とも言える大相撲力士ですが、意外にも血圧や血糖値などが正常範囲に納まっていることが多いと知られています。これは、日常的に激しい運動を行っており、脂肪量だけでなく筋肉量も多く、また内臓脂肪量が少ないためと考えられています。このことから、太っているということよりも、運動をしていないということの方が、より大きな問題であることが分かります。

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