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壊れて分かるありがたさ 慢性腎臓病、腎不全

腎臓って何をしているの?
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 腎臓の障害について話をするからには、健康な腎臓が一体何をしてくれているのか知らないことには始まりません。最初にざっと挙げてしまいます(右表)。
 ほとんどの方が、腎臓は血液を濾して尿をつくるところと理解していると思います。その理解は正しいのですが、もう少し詳しく尿がどのような意味を持っているかも見てしまいましょう。
 実は、余分な水を捨てるのも、老廃物(尿毒素)を捨てるのも、余分な電解質を捨て、さらに血液が酸性やアルカリ性に傾かないようにするのも、すべて尿をつくって排出することでやってしまいます。
 これはそんなに簡単なことではありません。体は食物を通じて様々な物質を日々違う分量で取り込みます。その成分量に応じて、臨機応変に調節しないと、すぐ「体液」の成分・性質、分量が変わってしまいます(尿のできかたはコラム参照)。そして、例えば電解質のカリウム濃度が上がりすぎれば不整脈・心停止を起こしかねないなど、生命にかかわってきます。
 最初の濾過でできる「原尿」は1日あたりドラム缶1本分にもなります。これだけでも腎臓がいかに働き者か分かりますね。
 こうした背景があるので、尿を見れば、生命現象が正常に営まれているか(つまり健康かどうか)体内の状態をうかがい知ることができます。
 さらに腎臓の働きは尿の生産だけに止まりません。
 まず、レニンという血圧を上げるホルモンを分泌しています。これは全身の血圧を維持するとともに腎臓の血流量を維持するためと考えられます。またエリスロポエチンというホルモンを生産しています。このホルモンは骨髄で赤血球の産生を促す働きがあります。またビタミンDを活性型(カルシトリオール)へ変える働きもあります。このカルシトリオールは小腸からカルシウムとリンの吸収を促し、骨の発育・維持に大きな役割を果たします。
 さらに、インスリンや成長ホルモンなど、役割を果たした後で不要となったホルモンを不活化したり捨てたりもしています。
 このような重要な役割の数々を黙々とこなしている腎臓は、ソラマメのような形をした握り拳大の臓器です。背骨の脇、腰の少し上に左右対称に2つ存在しますが、どちらか1つだけでも、説明した働きを十分に果たすことができます。健康な腎臓を持って生まれてきた人は、最初は随分と余力を持っていることになります。

腎臓で尿のできるまで。 20-1.2.JPG 腎臓は、図のような「ネフロン」という基本構造が約100万個合わさってできています。  動脈から糸球体の毛細血管へ勢いよく血液が流れ込むと、その圧力で老廃物や電解質を含む水分が血管から「ボーマン腔」へ押し出されます。血管内には、血球成分やタンパク質が残ります。ボーマン腔に押し出された水分が「原尿」です。  原尿の水分や電解質は、尿細管を通るうち大半が血管に再吸収されます。残ったものが腎盂から膀胱へ運ばれ、尿になります。

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