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治療が消える 治療を守る⑪

医療機器や医療材料の供給に関する構造的課題を探っていくコーナーです。

事務局の業務とは

 前回、厚生労働省医療課の井内努課長補佐が、新しい医薬品や医療機器に保険収載を認めるか否か日本医師会(日医)の疑義解釈委員会に諮っていることについて、「事務局の業務の一環」だから非公開で、「医師会の良識」を信じて守秘義務もかけていないと説明しました。
 何となく釈然としない所もあるので、もう少し詳しく聴いてみたいと思います。

――疑義解釈委員会の委員への謝金や交通費は国から出ているんですか。

井内 国からは出てないですね。

――善意に解釈すれば、日医が自腹を切って社会貢献していることになりますけど、裏に何かあるから無償でやっているんじゃないかという推測も成り立ちます。

井内 なるほどね。特に、これで利益供与ということはないんですが。実際、こちらの方から日本医師会に専門家の意見をお聴きしたいということですからね。お支払いした方がいいんですかね。聴いている以上はね。

――お金を払わないから守秘義務もかけられないということになりますか。

井内 少しニュアンスが違います。メンバーをどういう風にオープンにしていくかというプロセスも話し合っている最中ではありますが、もしメンバーを見ていただければ分かることとして、それぞれの分野で実績があって、学会の中から選ばれて出てくる先生たちです。利益供与とかというのは超越して、ある程度、今後の分野とか医療全体をどういう風に考えて行かなければならないのかと、大所高所から話をしていただけるという感じの先生ですので、お金をお支払いしてないから何かをするとかいうレベルの方々ではないと思っています。
業界をリードする方々なので、ちゃんと教えてくださいよというのも変な話なんですが、学会の先生方から何か教えていただいた時に毎回お金をお支払いはしてませんので、そういう一環の中でやっているというイメージはありますよね。これに限らず、何かが先進医療から保険収載された方がいいという時も、検討会の中で決まったとしても、それが本当にどういうフィージビリティー(実現可能性)があるのかとか、検討会の先生以外にも色々一所懸命聴きます。行って聴くこともありますし、こちらにたまたまお越しになった時に立ち寄っていただくこともあります。我々も当然万能ではないんで、教えてくださいと言って教えていただくという、そういう位置づけでやっていることは事実なんですよね。

――専門家に教えてもらうのは大切なことだと思いますが、その場が日医の中の組織であることに、どうも違和感があります。

井内 そこは、組織がどう作られているかなんですよね。元々日本医師会というのは医療全体を見る組織で、(傘下の)日本医学会は医学全体を見る専門家の集まりであるという位置づけで、それぞれのプロセスの中で必然性があってなったんだと思います。ただ今の時代でどうかというのは、見る人によって、あるいは立場によって評価が分かれるのかもしれません。疑義解釈委員会については、日医の中でこの人はダメだろうというような話はなくて、学会優先で学術的な話でメンバーになってやっていただいているという風に我々も聴いていますので、そういう意味で我々も信用して専門家の意見を教えていただくというプロセスとして使っているということですよね。

――中医協の専門組織の議論も非公開だし、疑義解釈委員会の議論も非公開。何がどう話し合われているのかさっぱり分からないという現状があります。情報の透明性の観点で問題ではありませんか。

井内 企業が厚生労働省に申請してから外に出るまで全部がトンネルの中だと、これはやっぱりマズいと思いますし、できるだけ透明化していくべきだとまさに我々も考えております。ただ、疑義解釈委員会の後には専門組織があって中医協に報告をして、中医協の中ではかなり情報が明らかにされて保険収載へというのがあるので、どこのプロセスをどこまで明確にするのかということだと思うんです。
ここの位置づけは、事務局の担当者がすべての分野に精通しているわけでもないんですけど、企業から申請が出てくると専門組織へ諮るための資料を整えないといけないので、我々は専門家の所に電話して、本当にいいんですかとか、どうやって使うんですかとか、今あるので代替するものはないんですかとか、根掘り葉掘り聴くわけですよ。電話で担当者が何を聴いていたかという所まで透明化するのは限界がありますよね。それと同じ位置づけなので限界はあると思うんですけどね。ただ、こうやって皆さん集まってお話をしているんであれば、その内容について示すべきでないかと言われればその通りで、出月先生のおっしゃるように、やましい所は何もないので、広く示せばいいとは思うんですけど。
問題は、企業にとって企業秘密というか製品化されるまで自分たちの開発したものなので、その辺の兼ね合いはあるかもしれません。

――専門組織に諮るにも、まず専門家に訊かないといけないということですか。

井内 対象となるドクターが大勢いるような分野だったら、事情を聴く先生と審査していただく先生は別々に確保できますけど、特に医療機器なんかの場合、精通している先生が数人しかいないような場合もあります。そういう場合は、本当の専門家から事情を根掘り葉掘り訊いて、近い分野の方に審査していただくようにするしかないです。そうしないと利益相反の問題が出てきてしまいますから。

――ところで、保険局長から日医へ公文書が出ているそうですね。

井内 はい、そうです。

――月2回、疑義解釈委員会の度に出しているんですか。

井内 そうです。ちょっとこれ見てもらえませんかとか、これを検討というか、これに意見をもらえませんかということですね。

――文書の名前を教えてください。

井内 後でちょっと調べてお知らせします。付いてなかったような気がしますけどね。

 後日、文書の名前を教えてもらい、公文書公開請求をかけました。皆さんにもご覧いただこうと思います。

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