文字の大きさ

過去記事検索

情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

チョコレートは認知機能に良い~食べ物と添加物と健康㊹

大西睦子 おおにし・むつこ●医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて基礎研究に従事。

 チョコレートが好きな方に朗報です。これまで、チョコレートやココアは心血管系疾患のリスクを下げる効果があることで注目されてきましたが、記憶や情報処理速度などの認知機能にも良い効果を期待できそうだという研究報告が出てきました。


968人で調査


 私たちの認知機能は、加齢に伴って衰えていきます。その衰えを緩やかにする可能性があるというのです。


 この研究は、認知症を発症していない23〜98歳のニューヨーク州シラキュース居住者968人を対象に、食物摂取頻度調査票を利用してチョコレートの摂取頻度(決して食べない、まれに食べる、週に1回、週に2〜4回、週に5〜6回、毎日1回以上)を尋ね、さらに認知機能のテストを行って、その関係について分析したものです。


 その結果、チョコレートを週1回以上食べる人は、頻度がそれ未満の人たちと比較して、言語記憶を除いたすべての認知機能が優れていました。対象者の年齢、性別、教育、高血圧やコレステロール値や血糖値などの心血管症リスク要因、アルコール摂取量やカロリーの総摂取量などの影響を差し引いても、言語記憶と作業における記憶力以外は優れていました。


 この研究だけでは、チョコレート消費と認知機能改善の因果関係については分かりません。


 ただ、研究者たちが、チョコレートの消費量が認知機能を予測できるか、また、認知能力の高い人ほどチョコレートを好むという傾向があるかどうかも調査したところ、結果、特に関連はありませんでした。認知能力が高い人がチョコレートを多く消費しているというわけではないことになりますから、チョコレートに認知能力を良く保つ効果がある、と考えても矛盾しません。


ミルクチョコでも効果


 実は、チョコレートやココアの短期摂取による認知機能の改善効果については、既に疫学的研究や臨床試験で多数報告されています。そうした報告の中で認知機能を高める物質として注目されてきたのは、チョコレートやココアに含まれるココアフラバノールなどのフラボノイドです。


 製品のフラボノイド含有量は、カカオ含有量に依存します。一口にチョコレートと言ってもカカオ含有量は種類によって大きく違い、一般にミルクチョコレートで約7~15%、ダークチョコレートなら30~70%といったところ。ですからダークチョコに認知機能の衰えを防ぐ効果があると言われても、そんなにビックリするようなことではありません。


 ところが、今回の研究では、研究の対象をダークチョコレートに限定せず、限定しなかった理由として、認知機能への効果がミルクチョコレートでも認められるという先行研究があることを示しています。


 そこで示されている有効成分は、カフェインとテオブロミンです。テオブロミンとは、チョコレートやココアの独特の苦み成分です。


 ある研究では、ココアパウダーと、カフェイン・テオブロミンの混合物、それぞれダークチョコレート50g分を摂取したところ、同等の覚醒および認知機能の改善効果があったそうです。また別の研究で、フラバノールの量を調整した飲み物を8週間摂取したところ、低濃度でも言語流暢性などについてはある程度向上が見られ、この効果はカフェインとテオブロミンによるものとの考えが示されました。


 実は私もチョコレートは大好きなので、チョコレートやココア製品を食習慣の中に入れることが認知機能に良さそうだというのは、嬉しい話です。ただし、チョコレートは、脂肪や糖分を多く含みますから、食べ過ぎないよう注意が必要ですね。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
  • 「認知症 それがどうした!」電子書籍で一部無料公開中
サイト内検索
掲載号別アーカイブ