療養病床がどうなっているか、わからない点。

投稿者: | 投稿日時: 2009年04月20日 16:25

昨日のニュース「療養病床、06年度改定時から1万7340床減」で、政府の方針どおり、よりはかなりスピードが遅いものの、療養病床が徐々に減ってきている実態が明らかになりました。

たしかにこの問題は、「療養病床には、医療保険適用の医療型療養病床と、介護保険適用の介護型療養病床の2種類がある」など、ややこしい部分がたくさんあります。それでも、あわせてロハス・メディカル本誌の「療養病床削減 何それ?」を読むと、これまでの経緯がだいぶ頭に入りました。


ただ、そうしてもなお、昨日のニュースを読んでいていくつか素朴な疑問があったので、まずはちょっと書き出してみることにします。

まずは、わからないと思った点を、記事を引用しながら、確認点とともに挙げていきたいと思います。


1.なくなって、それらはどこへいったの?
【厚生労働省がまとめている「医療施設(動態)調査」によると、06年4月には35万7836床あった療養病床が、08年12月末には34万496床にまで減っていた。療養病床は05年が施設数・病床数ともに最多となったが、療養病床再編計画に伴う06年度以降の診療報酬改定などの影響で減少が続いている。療養病床のある病院と診療所も減少を続けており、同年12月でそれぞれ4076病院(同時期との比較で278か所減)、1713か所(696か所減)だった。】

⇒確認:06年4月と08年12月を比較しているのは、06年度の診療報酬改定が療養病床の減少に直結していると考えているからですよね?

⇒わからないこと:その差の病床1万7340床は今どうなっているのでしょうか。また、病院278病院、診療所696箇所は今どうなっているのでしょうか。病院で言えば、「介護老人保健施設や、新しいタイプの転換型の老健」に移行されたのか、その割合もきになります。そしてもっとも気にかかるのが、そこにいた患者さんの行き先です。在宅の整備がそこまで進んでいるとは思えません。きちんとしかるべき施設へ移ることが出来たと考えてよいのでしょうか。


2.細かいことですが・・・なぜ増えた?
【一方で療養病床が増加していたのは、滋賀県 2997床(405床増)、山形県2097床(224床増)、群馬県5095床(172床増)などだった。】

⇒わからないこと:削減の方針が叫ばれ、診療報酬の引き下げが進む中で、上記の県ではなぜ療養病床が増えたのか?単純に、高齢人口の増加するなか、介護系の施設が足りていない・追いついていないから?素朴な疑問です。


3.国民の声がなぜ聞こえてこないのか。
【自民党の「療養病床問題を考える国会議員の会」では昨年、介護型療養病床の機能を存続するよう求める提言や署名を舛添要一厚生労働相に提出した。同会では、療養病床削減により"医療介護難民"が11万人出るとの試算を示していた】

⇒確認:記事からは直接的には、国民の声がきこえてきません。ただ、ちょっと検索してみたところ、上記議連の発足に際しては、「社団法人認知症の人と家族の会」からヒアリングを行うなどの動きもあったようですね。それにしても、その例を除き、声を上げているのはやはり大部分が、療養病床を中心とした病院関係者の方々のようです(自らが直接の利害関係者となるわけですから、当然ですよね)。一方、影響を受ける国民としては、まずは高齢者の方々。となると声を上げるという感じではないことは想像に難くありません。しかし、療養病床が減り、代替の受け入れ施設が足りず、また在宅医慮の整備も進まなければ、結局は家族である若い世代が困ることになります。それでも、どうも国民全体がこの問題について深刻に考えている雰囲気は感じられません。

⇒わからないこと:なぜ国民は黙っているのか。「無力無力」と言いながら、例えば消費税が上がるとなれば、いっせいに文句は言うはず。そういった強い反発が感じられないのはなぜ?ちょっと考えたのは、「療養病床」という言葉自体がなじみがなくて(ロハス・メディカル本誌の特集にもありましたが)、いくら騒がれてもピンと来ないんじゃないか、ということ。病院がなくなる!というほうがまだインパクトが強いのかなあと。そのあたり、どうなんでしょう?


以上、思いつくままに書き出してみました。皆様、あるいは熊田さん、ご存知の部分がありましたらご指導ください!

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コメント

ふじたんさま

>慢性疾患、あるいは慢性的な機能低下がいろいろな臓器に出ている人が多く、具合が悪くなったときに進行が早い、治療法を若い人と同じようにしたら余計に具合が悪くなるということです。

このことを「年寄りは簡単に具合が悪くなり、簡単に悪化します。」と私は表現したのですが、ふじたんさんの説明の方がより適切でしょう。

>年寄りは医療機関にいたい

と言い切っているわけではありません。医療と介護は違う→別に介護施設に医療は要らないだろう→療養型病床を減らしても困らないだろうという事務屋にありがちな論法(現実ではなく仮想論に基づく論理展開で物事を決める)で整理した結果、現実の世界での混乱や泣く人を招いていることを指摘したいだけです。

オンライン化しても役に立たないらしい。
https://lohasmedical.jp/blog/2009/04/post_1689.php#comments

にも、そろそろレスをいただけるとありがたいのですが...

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