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ニュース〜医療の今がわかる

岩瀬博太郎・千葉大学大学院法医学教室教授インタビュー

――と、言いますと?

 法医解剖が捜査一課の下に入ってしまっているので、情報が警察の独占になっています。本来、異状死体や変死体が増えるのは、医療制度や、少子高齢化対策などに関する厚生労働省の施策と関係があると思うんですが、警察が情報を握って出さない限り、厚生労働省はそこを指摘されなくて済むわけです。今後は、医療費抑制と在宅促進の流れがあるわけですから、老人の孤独死のようなもので間違いなく変死事例も増えるはずです。そんな状況で、犯罪と関係がないという理由だけで死因を調べないようでは、行政の不備を指摘するころもできず、日本全国姥捨て山になってしまうのではないでしょうか。

 この問題は、複数の省庁にまたがっていますので、一つの省庁だけに頼って改善を期待しても、却ってグチャグチャになります。国会が、主導権をとって包括的な体制を作れと指示すべきだと思います。実際多くの先進国では、それが当たり前のように存在しているわけですし。

(略歴)
67年 千葉県生まれ
93念 東京大学医学部卒業
03年 千葉大学医学部法医学教室教授


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