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福島県立大野病院事件第五回公判

 検事  あのもう一つ。甲6号証についているのは顕微鏡写真ではないので。
 裁判長  まったく別のものなの?
 検事  はい、いや拡大したものなので、写真としては別のものです。
 裁判長  この写真には、どこの部分と記載されているわけね。異議は棄却します。

 こうして顕微鏡写真を使っての講釈を挟み、検事はS助手に、子宮写真の上に癒着の範囲を図示させた。そして、おや?と思うやりとりがあった。

 検事  帝王切開創と癒着胎盤の範囲とは重なっていますか。
 S助手  改めてマッピングしてみたところ、今回必ずしも一致していません。
 検事  以前は重なっていると鑑定していましたね。
 S助手  はい。
 検事  変更された。
 S助手  そうです。
 検事  理由は何ですか。
 S助手  前回の鑑定では標本の一部に癒着があった時、標本のブロック全体が癒着していると考えましたが、今回はより詳細に検討しました。

 ビックリである。どうやら最初の鑑定書では、胎盤と帝王切開創が重なっていたことになっているらしい。であれば、子宮を切開した時に胎盤も傷をつけていることになり、胎盤を無理やり剥がした云々以前に出血が止まらなくて当然ということになる。医療ミスと言われても仕方ないかもしれない。

 検察は、S助手が証言を覆すことを知らずに質問したとも思えないので、やはり狙いは、「いい加減な鑑定をした戦犯」の印象づけだろうか。

 ただ、S助手は何を根拠にそんな重大な鑑定をしたのか。警察なり検察なりから、誤った情報か圧力を与えられていたとでも考えないと、誤りのすぐバレるような鑑定書を書くとは思えない。

 午後、S助手は弁護側から相当追及されたようである。専門家として鑑定書を書いてしまった以上当然とも言えるが、S助手だけが悪いのでもなかろう、と少し同情した。

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