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ニュース〜医療の今がわかる

患者の声と対話型ADR


佐々木
「記者会見でよくテレビカメラに向かって病院側を謝らせてますよね。あれは一体誰に対して謝罪させているんですか。先に遺族に謝罪させるべきではありませんか」


土屋
「極論すれば会見しないでも良いと思う。被害者に直接謝るべき。でも、メディアに責め立てられ、メディアに用意されて出ていくというのが実際のところ」


村上
「土屋先生が先ほど責任者に話を持って行ったのが無謀だとおっしゃった。確かに自分でも無謀だったとは思うけれど、方法論としては間違ってなかったと思っている。というのが、最初に質問した際に現場の責任者からは明らかにおかしな回答が来た。これは組織としての意思決定があるに違いないと感じた。黒岩さんの紹介したベン君の件では、婦長が最高責任者に『これを検査したら病院になるかもしれないけれど調べるか』と尋ねて、最高責任者が了承している。そういうくだりがあったので、だからそのことを紹介した和田先生の本を手紙に同封して担当理事あてに『どうかこの本の付箋を付けた個所を読んで欲しい。あなたの英断が必要』と手紙を書いた。しかし結局決断はしていただけなかった。上の方の意思がないと、事実も出てこないし、医者も大変な思いをするのだと思う」


土屋
「組織として対応しないといけないのは確か。私が先ほど言ったのは、決まり文句のように『院長を出せ』という人が多いという話」


黒岩
「終末期医療なんかまさにそうだけれど、殺人罪と一線を画したところへ持ってきてあげないと。免責は大事な要素だと思う。
メディエーターというのが、話に聴いてもどうもイメージがつかめなかったのだけれど、実際に活躍している人に会ってなるほどと思った。医療福祉チャネルの番組で大阪・豊中病院の水沼さんというナースの仕事ぶりを追った。それこそマイナスの感情でパンパンになった人が突然やってくるわけだが、その方は奥さんがミスで寝たきりになってしまった。で暴れまわって大クレーマー。水沼さんに対しても、しょせんお前も病院から給料もらってる病院側の人間やろうと罵倒する。それに対して、たしかに私は病院側の人間ですけれど、きちんとやりますから、思う存分話してください、とまず不満を聴きとって、それを今度は現場の人間に対して、テクニックなのか少しキツイ位に『こんなことがあったのか』と問いただす。それを見て旦那さんも心を開いていくわけ。最初は大クレーマーだった人が私たちのインタビューに対して『水沼さんには感謝している』と言った。『裁判になった時も暴れたけれど納得した。こういう気持ちにならせてくれたことに対して感謝している』と。そういう人間力のあり人がメディエーターになるんだなと思った」


和田
「水沼さんクラスのメディエーターは今日の会場にも何人もいる。刑事免責の件だが、日本以外の国では医療事故は刑事事件にしない。それは遺族から見た時にどうなのか」


佐々木
「私の場合は刑事へ行って業務停止3カ月の行政処分も出た。でも聴いたら院長は業務停止中も毎日病院に来ていたらしい」


村上
「裁判をやっわけではないのだが、池田小事件で宅間死刑囚が『早く死刑にしてくれ』と言って執行されたのを見て、遺族は気持が治まるのかなと思った。言葉は悪いが、もっと本人に自分のした罪に苦しんでもらいたかったのでないかという気がする。医師の場合の刑事罰もそれで遺族の気持ちの整理がつくのかなとは思う。気持の整理がつくかどうかの方が大事。佐々木さんの例のように形だけの罰だったら余計に腹が立つ」

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