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ニュース〜医療の今がわかる

仙谷由人代議士インタビュー2


――患者の側、国民の側で、できることはないでしょうか。

 何もかもお任せではなく、責任を持って関与・参加する機会は必要だと思いま
す。ただし手段は何なのかは考えないといけません。プロフェッショナルな仕事
はプロフェッショナルな有資格者にやってもらうしかないのだから、費用負担と
いう形で参加するのか、自分にできることをボランティアするのか。

 私、がんセンターで6カ月に1回検診を受けているんです。検査を受けた後で
1週間か10日後にカウンセリングを受けます。画像を見ながら主治医が10分から
15分説明してくれるんですけど、その時にいくら払うか知ってますか。厚生労働
省の官僚に聴いても誰も答えられないんですけど、再診料の210円だけですよ。
病院には700円入っとるんでしょう。そんなんでは、プロに対する報酬としてお
話にならん。駆け出しの弁護士でも15分法律相談したら何千円か取りますよ。

 知価社会というのだからカウンセリングやコンサルティングしてもらうことを
評価しなければおかしいんです。そうでないのなら、インフォームドコンセント
など要求したらいかんですよ。相談窓口を設けよとか、緩和ケアでどうしろこう
しろとか、診療報酬を付けない限り、病院は持ち出しになるわけですから、無理
に無理を重ねることになるでしょう。費用がかかるのは当たり前で、それを所与
の条件として制度を再構築しないと始まらないです。

 今のままならインフォームドコンセントしない方が、化学療法の技量上達に努
力しない方が病院経営にはプラスになります。そうでしょう、やるとバカを見る
んですよ。病理診断だって、がん診療には大変重要なのに、病院の端っこに追い
やられて。すべてが悪循環に入っています。誰かが、どういうきっかけか好循環
を生まないといかんのです。発想の切り替えが必要です。

 細胞レベルで病気を治すだけでなく、病気を抱えた人間を支え、人間そのもの
を元気づける仁術を今の時代の患者が求め出していると思います。それは単純に
見ると医療者の負担を増すことになるでしょうが、そこにはドクターも応えない
といけないと思います。コンビニ受診をやめろというのには、裏返しに、コンビ
ニ受診をやめてくれないと丁寧な説明もできないじゃないかというメッセージが
込められているはずです。ドクターたちも白い巨塔に閉じこもらずに、人の生命
と健康に貢献するプロフェッショナルとして、患者や社会とコミュニケーション
を取っていただきたいと思います。肉体的病気には、必ず精神的ダメージが伴い
ます。治療の結果として何が起きようが、死だろうが後遺症だろうが入院の長期
化だろうが、医療者とのコミュニケーションのありよう次第で、反応はだいぶ違
うんだと思います。

 そして、医療者に対してそれを求めるのなら、そこへの直接評価をしないとい
けないのも当然の話です。プロフェッショナルの技能を生かすには、敬意を払わ
ないといかんのです。費用がかかることは当たり前なんで、患者もシステムを守
るために何をするか考えどころです。

(このインタビューを抄録したものが、『ロハス・メディカル』08年10月号に掲載される予定です)

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