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ニュース〜医療の今がわかる

周産期・救急懇談会1

岡井
「最初の成り立ちは胎児、未熟児中心、根本的に母体救急に対応するようにはなってない。ただ産科でも救える部分かなりあって、それは救ってきた。ただ、産科分野以外の合併症あって亡くなる、そういうものに対する対応の重要性上がってきたということなんだろう。池田先生、最近の傾向を調査されていると思うが」

池田
「2000年には78名のお母さんが亡くなって、10万分娩あたり6.3人、これを2010年には半減したいということで活動を始めて、2006年54名、4.8だったのが、昨年は39名、3.6と半減に近付いてきた。世界的に見てもナンバー5に入る。ただし母体死亡の実際の数を表しているかというと、分娩終了後に別の医師が死亡診断書を書いた場合は分からない。他の国の事例などから類推すると約35%増える。それでも先進国ではトップレベル。死因のほとんど脳血管疾患、心血管疾患、直接の死因の塞栓・妊娠中毒は下がっているのだが」

岡井
「情報の活用、質を高める一般の救急とネットワークがないというところがポイントになる」

田村
「墨東病院の件は非常にショックだ。我々、赤ちゃんを見てる立場からすると、総合周産期母子医療センターが9つもあってベッドにも恵まれて、そのような東京ですら受け入れ拒否でこんなことが起きた。埼玉は人口700万人でたった1ヵ所しかセンターがない。1200万人に9ヵ所あるのに。それでNICUが必要な人の3割が東京に送られていて、墨東は実によく受けてくれる病院。こんなことが起きて東京が敷居高くして他県から受け入れてもらえなくなったら、埼玉から見ると大変な破局。我々はセンターでありながら、大野先生には叱られるかもしれないが申し訳ないが転送依頼の59%を断っている。計算してみるとNICUが100床足りない。軽い患者さんは県外転送で、墨東とか広尾日赤は最後の頼みの綱でたいていは受けてくれていた。たまたま今回は悪者にされて、しかし埼玉県の赤ちゃん3割行く場所、今は情報を県の中で探しているがいつでも×、役に立たない。都の情報を我々が見ることができれば良いのだが、おそらく都は決して許してくれない。県には都と政策協定を結ぶように言ってきたのだができていない。センターには国の補助金が出ているのだから、舛添さんも石原さんとケンカせずに東京が受け入れてくれないとやっていけない、、、、国民の生命を守るために、、、、きちんと協議して他の県にもオープンにしてもらえるようにして」

岡井
「埼玉から受け入れてもらえなくなるのでないかという心配が示された。東京でもたしかにそうういう自分たちでいっぱいいっぱいという話になったが、しかしそんな度量の狭いことを言うなよとなっているので安心してほしい。ネットワークを広げられるかどうかについては見当が必要だろう。ただ満床であっても受け入れるというのはセカンドベストでしかない。ベストはベッドも医師も空いていることで、そうでないと最善の処置できない可能性はある。地域完結していればそうならざるを得ないのだろうが、本当にどちらがいいかは議論する必要がある。NICUの絶対量が足りないということはその通りだろう」

海野
「神奈川も埼玉と同じ。10%は東京にお願いしている。首都圏は1つの医療圏として考えないととても回らない、搬送手段についても広域のもの考えていただきたいとずっと言ってきた。このようなことは都道府県では動かない。国でやってくれないと」

藤村
「ウチは、この20年ぐらい断った例がない。別に無理をしているというのではなくて、現場に聞いてみると非常にスムーズにいっている。以前は探しまくってたころから電話を受けた所が情報システムを使って探している。センターの当直医がコーディネーターをしている。ネット使いながら、その情報を使いながら電話すると大抵は断られない。大阪はうまいこといっているのは、システムを柔らかく動かすことが大切で、システムの絵を描いてもダメ。大阪は30年やっていて、一回も新聞ネタになるようなことがない。『連携』という言葉が盛んに使われるのだが、その意味がよく分からん。我々は『相互援助』という言葉を使っている。助け合いという気持ちがないと動かない。地域に応じたソフト面、ローカルな面を出していくべきじゃないか」

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