周産期・救急懇談会1
「医師不足と言われるが数は毎年4千人ずつ増えている。その人たちはどこへ行ったのか。勤務医が開業医になっているというようなことも言われているが、データを見る限りそうでもない。じゃあ診療科分布がおかしいのだろうと見てみても、たしかに内科が増えて、外科が減っている。しかし不思議なことに外科や救急の医師不足が問題になることはない。麻酔科や小児科へ減ってない、1人あたりでどれだけ診ているか、むしろ減っている。産婦人科は確かに減っているが、同時に出生数も減っているから、考えようによったら需要と供給の関係は均衡が取れている。
じゃあなんで産科と小児科が問題になるのか。それを見ないと単に医師を増やしてもダメだ。女性医師の割合が3分の1までなっている。米国では半数を超えているので、日本も益々増えるだろう。診療科別に見ると産婦人科は突出して女性医師の割合が多く、20代の70%以上。麻酔科も若い層では50%ある。小児科医も同じ事。女性比率の高いところで大きな問題が起きている。皮膚科も女性の割合が高いが、緊急に呼び出されることないからいける。女性医師は卒後10年以内に55%が診療から離れる。妊娠出産育児がある以上しかたのないことで、それを放置していて不規則な勤務で男と同じようにやれと言っても無理。その人たちが働きつづけられる環境をつくらないと。
医師養成数を増やすことにはなったが、一人前になるのに10年はかかるから、やっと15年後に増え始める感じ。遅すぎる。即効性があるのは、女性医師に働きつづけてもらうこと。医師には仕事が多すぎる。特にくだらないと言ったらなんだが、診断書を書くとか、それこそアンケートもたくさん来る。そういうことをやってくれる医療秘書なら、医師1人の養成に年間1千万かかると言われているが、その値段で2人雇える。そういうこともやっとかないと」
岡井
「医師不足の実質を分析していただいたが、その問題は別の検討会でもやっている。小児科の視点からはどうか」
田村
「小児科医でも、女性が増えてフルタイムで働けないのもあるが、小児救急や新生児科のハードワークのところで働く医師が減っている。一方で1500グラム未満の未熟児は右肩上がりで増えている。10年間でNICUの対象になる新生児は1.5倍になっている。しかしNICUで働く医師はむしろ減っている。産科も1人あたりのお産は横ばいであってもハイリスク分娩が増えている。そういう実態は、数だけ並べると見えてこない」
杉本
「これが事実だという意識で示したのではない。これに基づいて考えましょうということ。産婦人科医についても、実は産科医が減って、婦人科医は増えているのだろう。突っ込んだ議論の中で実態は見えてくるのだろう」
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