臨床研修検討会5
高久
「課題のところだけで随分時間を取られてしまったが本日のメインは2枚目以降の特に見直しの方向。なかなか難しい問題なので、ここをご議論いただきたい。内科6ヵ月、救急3ヵ月の必修ということはよろしいか。では次に内科・救急以外で従来は必修とされてきた科目を選択性にしてはという件はいかがか。選択制にするとして、いくつ回ることにするか。ただ後の方で1ヵ所最低で3ヵ月は回るべきという意見がほとんどだったので、それを反映するとしてあまり選択必修を多くするとフレキシビリティがなくなる。多くて2つと考えているのだが、その点はどうか」
西澤
「プログラムの内容を話す前に、基本的な考え方を固める必要があるんでないか。まだそこが固まってない。でないと2年間の到達目標が達成できるかどうか」
高久
「私もそこは心配な面はあると思っている。ただ、もともとはプライマリケアの修練が一番の核だったと思う。それを充実させれば、ある程度許されるんじゃないかと甘く見ていたのだが」
吉村
「外科医になるためでなく、外科的なものを学ぶのならば外科を回るより救急を回るべき、小児科よりも小児救急、精神科はちょっと難しいかもしれないが、しかし学生実習をしっかりやるとか方策はあるんでないか」
大熊
「8つの団体の意見では、今の2年ローテートが良しというのが4団体、1年だけ核をというのが4団体で半々のようになっているが、医学教育学会からは制度をみだりに変更してもらったら困るという意見書が座長のところにも届いているだろうし、またVHJという志高い病院の団体も同様のことを言っている。表面上は4対4だが、深く考えているところのことも勘案すると1年核にして2年目はつけたりはおかしい。なぜ見直すのかと言えば国民にとってよいことにするために見直すんで、医学部の人や病院の人ばかりが議論してもずれる。国民の立場から見ると、全人的に診れる人ができるといいなあと思っているんであって医局に戻ってくるといいなあとは思ってない」
高久
「プライマリケアの基本となる内科と救急をまずやりましょうということで他の科を回らないということではない。若い時にはできるだけ多くの科を回っておいた方が将来プラスになる。しかし内科と救急だけは全ての基礎になるから必修にしようということ。学会によってはいろいろな考え方があって、高齢者が多くなるんだから整形は必修だとか、うつが増えるから精神は必修だとか、いろいろな意見はあるけれど」
嘉山
「医療をどのように捉えているか、大熊先生と我々とで違うから話が噛み合わない。プライマリケア、鑑別が一番大事とおっしゃる。たしかに入口では一番大事で、そこで一定の管理ができることは必要だが、そこから治療の際にはトップランナーにつながないと国民が納得しない。今回問題になっているのはトップランナーが育たなくなるということ。診断だけしていれば生活できちゃうキャリアパスになりがち。西澤先生の病院でも難しいことしていると思うが、その医師がどこで育っているか。プライマリケアばかりに偏ってしまっていたので、そこは弾力化したらいい。そういう意味では本当は救急だけでもよいのでないか。今問題になっているのは例に出して悪いが、眼科の先生が全身管理ができないとか鑑別できないとか。鑑別だけすればよいなら救急だけでもよいのでないか」
高久
「総合医の問題はまた別。基本的に後期研修で養成されるべき。ここは初期研修について議論するところで、若いうちにはいろいろ見ておくことが役に立つだろう。日本に足りないのは、むしろスーパースターではなくベースの人ではないか。しかし、今までの1ヵ月ごとというのは教室の習慣に慣れるまでで終わっちゃうので3ヵ月はやはり必要なんでないか。そうすると選択性にせざるを得ない」
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