後期研修班会議11(最終・抄報)
土屋
「パブリックといっても法的裏付けがないと国民が信用しない。ただし、そこは官ではなく、民、現場中心で運営できるものにしたい。とかく法的裏付けというのは両刃の剣だが、関係者全員が集まってオープンに議論すれば官主導は避けられるのでないか」
阪井
「学会の代表者たちで担うとなると、各学会の利害を背負い背負われてやらざるを得なくなるので、一般の方から見て納得は得られないだろう。学会主導でやるとそういうことになるのは明らか。専門医が入るにしても、活動している間は資格返上する位の仕組みが要るのでないか」
江口
「枠組みの中に都道府県や市町村の入っているのが今回特筆すべきことだろう。今までの専門医は、取るのがゴール、個人のためのものになってしまってた。社会全体のための専門医として捉えなおすことが必要で、がん対策協議会のワーキンググループで都道府県の担当者にアンケートをしてみたら行政の担当者も色々考えているのだが自らの領域だけではどうにもならないということがよく分かった。全体の枠組みの中に彼らが入ることは重要だ」
有賀
「日本救急医学会の専門医、指導医というのがある。指導医は何を指導するのかというとメディカルコントロール(MC)協議会で、地域医療計画の中の救急医療計画づくりに関与している。国民全体のための救急医療というと薄まっちゃってどうにもならん。地域の救急医療がどうなればいいか立案するところまで指導医の仕事だ。消防法も改正されてMC協議会ちゃんと作れということになっている。何が言いたいかというと、すでに救急の分野でやっている人はやっていることだから、それをマネすればうまくいきそうな気がする。ただ、官のコントロールをふっくらやれるのかが問題だろう」
土屋
「救急やがんのように個別の領域ではこういう機関ができている。しかし全体のバランスを考えているところはない。やはり最初の全員参加のテーブルがないとできないだろう」
山田
「秋遅くから年度内に結論出すというので不安視していた。しかし班長のリーダーシップというか剛腕で、公正に見ても素晴らしいものができたかなと評価している。欧米を中心にきちんと資料分析もした。医師の基本の根幹が卒後プログラム認定だと強く思った。ここを押さえれば長期的にも質を担保した医療を提供できるだろう。
専門医は各学会が独自につくってきたもので、それをいかに実現可能な形で標準化するのか。厚労省が官庁的アプローチではやって来なかったこと、あるいはやるべきでないという判断があったのかもしれないが。そこに第三者機関が踏み込むのは大きいのかなと思う。管による弊害を防止する意味でも独立機関が必要だと、適切かつ重い提案になっている。
ただし概念的に新しい提案なので、最初から難しい問題に当たるだろう。各学会が賛同して付いてくるかといったら難しい。しかしやらなきゃいけない。それからスペシャリティとしての家庭医・総合医に関して専門性を確立したものの重要性は分かったけれど、しかし現状日本全体を面でカバーできるものではない。となると、専門医で全部カバーできるクローズなものと開放系のものとできてくるのでないか。報告書には明文化されていないが開放系も容認していると理解しているので、その点でやっていけるのかなと期待している」