後期研修班会議11(最終・抄報)
川越
「危惧しているのが、専門医を標準化して共通言語化するのが望ましいというあるべき姿に関しては全く同意見なのだが、しかし例えば在宅医療の専門医があるとしたら新しい分野。多くの先生がやっているように外来やりながらというわけにはいかない。そういうものまでロードマップに押し込むという考えには慎重にあってほしい。
総合医・家庭医に関して色々言葉はあるが、色々議論しても結論が結局出ない。家庭医を早く統一した形にしてほしい。それをやった上でこちらに乗っけたらいい」
土屋
「今回、言葉の定義はした」
川越
「もう一つ、地域に出ている家庭医・総合医が自分の専門性をそこで意識しているかというと、そんなことはないだろう。私の場合も元々は産婦人科で、個々に得意分野を持ったうえでやっている。地域によっては、総合という専門性の医師が必要なところもあるだろうが、日本全国それでカバーするのは無理だ」
外山
「家庭医の問題というのは、日本に元々体系づけられたものがなくてつくるわけだから、過渡的に大きな問題にはなるだろう。そういうものを他の国ではどう乗り切ってきたかディスカッションする必要があり、今回の枠組みの中には入れられない。
今回の構想に対して、色々な団体や日本医師会の反発は当然あるだろう。しかし、その反発がどういうレベルのものかというと理事レベル、運営している人レベルのものであって、一般会員のものとは違う。反対が出たとしても一部の意見かもしれない。そういうことを踏まえて、どうアプローチしていくか。若手は必ず賛同してくれると思う」
土屋
「国民、社会全体の要求であれば、学会のエゴを抑えて行くことはできるだろうし医師会も同様だろう」
渡辺
「今回の目玉は、専門医の適正数を出すということと、家庭医・総合医が全体の3割から5割になるように医療の仕組みを変えるということ、それがサマリーになるだろう。しかしロードマップに関しては、まだ見えにくいかなという感じがする。誰が受益者かといえば国民や自治体で、その理解が得られれば推進されるだろうが、しかしどういうメリットがあるかを具体化していく必要がある。国民に分かりやすいように、もう少し見えやすい形にしたらと思う。慶應病院には、自分の病気をどこで診てもらえるのか分からない人たちが大量に来ている。なぜそこまで、日本の国民は健康意識が低いかといえば、病気になってから初めて医療と関わるからだ。英国や米国の家庭医は日常の予防段階から関与しているので人間関係もイーブンだ。病気になってからでは、上下関係も生まれてしまう」