「自閉症について知ってもらいたいこと」 松田文雄氏の講演
■「自閉症」という言葉の由来
ここで自閉症の歴史について、「誤解」と関連あるところも含めて、ご紹介します。よくご存知かと思いますが、1943年、(自閉症に関する研究で知られる)アメリカのレオ・カナーが、11人の児童についての報告を最初にしております。
ある特性を持った子どもたちに対して、「情緒接触の自閉的障害」という題名の報告をしています。その翌年に、「幼児自閉症」という言葉を診断名として付けております。
その時の特性としましては、言葉の使い方、例えば「オウム返し」といわれておりますが、そういった特徴、特性を挙げています。
さらに、(レオ・カナーは)最初の11人の家庭を調べて報告をしており、両親の様子が非常に似通っていた。これは、後で調べますと、11人の子どもたちの背景が同じところから出ているのです。
そうしたところから、傾向があるんじゃないかと言われています。
例えば、高学歴。大学卒業が8割ぐらいだったと思います。また、義務感で子育てをしているとか、真の愛情に欠けるんじゃないかとか、完全欲的じゃないかとか、あるいは非常に冷静なタイプであるとか、そういったことが報告されています。
それで、最初は養育環境の問題による情緒的な問題が(自閉症の)背景にあるんだという誤解が生じた訳です。しかも、その当時の報告をいろいろ調べてみますと、「心の傷を治療してだんだん良くなってきた」という内容の報告がありました。