「自閉症について知ってもらいたいこと」 松田文雄氏の講演
■現在、「自閉症」について考えられている特性は?
これ(アスペルガー症候群の概念を紹介した英国の精神科医ウィングの考え方)もよく登場する考え方、特性として言われていることですけれども、3つの特性があると。「社会性の障害」「コミュニケーションの障害」「想像力の障害」。
頻度は、以前は1000人に2-3人と言われていました。後で恐らく議論になると思いますが、最近では、(自閉症)スペクトラムも含めて、100人に1人ぐらいという考え方も出ています。また、男の子に多いと言われています。
次に、「特性とは何か」ですが、多くの子どもの発達と比べて得意なところと不得意なところがある。
知能の障害も、ある場合とない場合がある。その特性は、3歳ぐらいまでに表れると言われています。
この3つの特性があるということで、現在の診断基準から、簡単に紹介します。
■社会性
まず社会性、人とのかかわりについて。人間関係を築くことが不得意です。人とのかかわり自体にあまり関心がないことがあります。たとえ関心があっても、どんな風に付き合っていけばいいのかよく分からないということがあります。どちらかというと、独りで遊ぶ方が好きだったりします。
あるいは、同年代の友達関係が苦手だったりします。目とか表情とか、身振り、姿勢といった言葉以外で何かを伝えたり受け取ったりすることが不得意だったりします。
■コミュニケーション
コミュニケーション、意思を伝える方法、受け取り方について。言葉そのものの発達が遅れていることがあります。聞いた言葉をそのまま復唱したり、同じ言葉を繰り返して言ったりすることがあります。
言葉以外の方法で、例えば「身ぶり」「物まね」等で言葉を補うことが不得意だったりします。声の調子が、場にそぐわないことがあります。会話を続けることが難しいことがあります。独特な言葉を使ったり、同じ内容を繰り返したりすることがあります。冗談や例え話などが伝わらないことがあります。想像的な遊びをしなかったり、「ごっこ遊び」を自ら誘ってしようとしないことがあります。
■行動や興味
行動や興味について。想像力の問題と絡んでいる訳ですけれども、何かに非常に熱中することがあります。何らかのこだわり、道順とか並べ方、新しいことへの抵抗などがあります。
あるいは、感覚を楽しむような繰り返す運動、そういったものが認められる場合があります。あるいは、物の一部ですね、例えばボタン、回転する羽、身体の一部のように、物の一部に持続的に熱中することがあります。こういった特性が考えられています。