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DPC、「調整係数」廃止で大混乱?

4月10日DPC評価分科会1.jpg DPC(入院費の包括払い)を導入している病院について、前年度の収入を保証する「調整係数」が2010年度から段階的に廃止される。これに伴って導入される「新たな機能評価係数」や、調整係数廃止後の「包括評価点数」の範囲によっては大幅な医療費抑制につながるため、「費用保証がなくなると大混乱になる」「医療の質の低下につながってはいけない」などの声が上がっている。(新井裕充)

 中央社会保険医療協議会(中医協)の「DPC評価分科会」(会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)が4月10日に開かれ、急性期病院の機能によって診療報酬に差を付ける「新たな機能評価係数」の候補について議論した。

 「新たな機能評価係数」としてふさわしい項目を選定する議論の中で、DPCに否定的な木下勝之委員(日本医師会常任理事、成城木下病院理事長)が口をはさんだ。
 「(新たな)機能評価係数として、どのような値を係数化させるかという仕組みはどうするのか。(新たな機能評価)係数には"重み付け"が出てくるだろう。では、どのような"重み付け"をしていくのか。今までは、調整係数の評価というものがあった」

 さらに木下委員は「費用保証ということ、(前年度の収入を)確保するということがベースになければいけない。大学病院ですら非常に心配している」と指摘。「費用保証というのは、地方病院にとっても(大学病院にとっても)クリティカルな問題だ。費用保証がなくなると大混乱になることは目に見えているだけに、係数の貼り付け方と、そこの基本的な考え方はどうなのか、ぜひお示しいただきたい」と追及した。

 これに対して、厚労省保険局の宇都宮啓企画官は「調整係数の『単なる費用保証』という部分は廃止するということで合意したと理解している。あくまで、調整係数で評価できなくなった機能の部分について(新たな機能評価係数で)評価するということが、(2008年)12月17日の分科会で合意している」と一蹴(いっしゅう)した。

 木下委員はまた、調整係数の段階的廃止について質問。「段階的に調整係数を廃止して機能係数に移っていく場合、どういう段階的なステップを踏まれるのか。ある病院は調整係数で何年かやるのか、それ以外は(新たな)機能評価係数でいくのか。あるいは、一つの病院に関して、調整係数のようなものと(新たな)機能評価係数を混ぜていくのか。その辺の具体的な計画を示してもらえればありがたい。そして、最終的に行き着くところは、何を目標にして、こういうシステムを導入していくのか。費用保証が、われわれ現場サイドの者にとっては極めて由々しい問題なので、『それをキープできる』というものをベースにした上での計画でなければ、大混乱になる」と声を強めた。

 宇都宮企画官は、「(調整係数の廃止が)何段階にわたるのかなどは(中医協の)基本問題小員会で決まっていない。小委員会では、『とりあえず一度に廃止するのはやめよう。段階を追って廃止していく』(と合意した)が、段階については、今後の機能評価係数の議論で、(新たな機能評価係数が)どのぐらいの項目に絞られるのかなど、様子を見ながら決めていこうということで合意が得られていると理解している。現段階で、われわれの方からは何とも言えない状況」と回答するにとどまった。

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