パス合同会議参加で脳卒中連携病院の施設要件を一部クリア―東京都
この7つの基準のうちの4つ目に、次の項目がある。
「計画管理病院と連携する保健医療機関との間で、地域連携診療計画に係る情報交換のための会合が年3回程度定期的に開催され、診療情報の共有、地域連携診療計画の評価と見直しが適切に行われていること」
つまり、パスを共有する医療機関同士で患者の診療情報などについて情報交換する会合を年に「3回程度」開かなければならないということだ。しかし、東京都など3次救急病院が約20施設もあるような都市部では、「慢性期病院のベッドの奪い合い」(大学病院幹部)が起こっており、一つの連携保険医療機関が一つの計画管理病院とだけパスを共有しているとは限らない。都では05年度までに約5200人の慢性期患者が都外に転院しているなど慢性期病床が不足しており、医療計画でも療養病床を現状より約7000床多い約2万8000床にまで増床する方針を打ち出している。
計画管理病院となる急性期病院側としては、パスに参加してもらう慢性期病院を確保する必要があり、実際に複数の計画管理病院のパスに参加する連携保険医療機関もある。しかし、この施設基準に従うと、パスの形式が違う3つの計画管理病院と連携した場合、年に9回程度は会合に参加しなければいけなくなる。都内で療養病床を運営する病院の理事長は「一つひとつの病院に3回ずつ、というのは効率が悪過ぎる。いかにも現場を知らない厚労省が考えそうな基準。複数に参加するのが当たり前ではないか」と話す。
この問題を解消したのが、今回の東京都の「脳卒中地域連携合同パス会議」だ。
都では現在10の地域連携クリティカルパスが使われているが、現在の医療計画が始まる以前から既に使われていたものもあり、各医療圏や医療機関に応じた特性がある。
都は、脳卒中医療の救急搬送体制を都内で一斉に開始するため、昨年度から「脳卒中医療連携協議会」を実施しており、医療連携について協議するための「脳卒中地域連携パス部会」を開催。今後、都内のパスの項目や様式を統一していく方向で合意していた。ただ、短期間で10のパスを統一に向かわせると、現在の各地域での連携体制を混乱させるおそれがあるとして、各パスについて情報共有し、まだパスに参加していない医療機関への情報提供を図ることも目的に、合同会議の開催を決定。これに参加することで、複数のパスに参加する連携保険医療機関が、各計画管理病院との会合に参加したとみなせるよう、厚労省側と調整してきた。
都は同日の会合中、「一医療機関で複数のパスに参加している場合は、複数のパスのそれぞれの情報交換の会に参加したことと同じ効果」になるとして、厚労省保険局医療課の確認を得たと説明した。都の担当者はこうした会議について、「国内でも初の試みではないか」と話している。
合同パス会議には、約300人の医療機関職員らが都庁の会議場に来場。10のパスについて、それぞれの様式を見ながら、経緯や特徴について情報交換した。
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