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揺れる「地域医療への貢献」 ─ 中医協・DPC評価分科会

長谷川学課長補佐0619.jpg 中小病院が地域で果たす役割を診療報酬でどのように評価すべきか─。中医協の分科会では、「救急医療」と「医療計画の実施」が候補に残っているが、具体的な基準はまだ明らかにされない。2010年度の診療報酬改定では、救急医療が重点的に評価される見通しだが、「地域医療への貢献」という"隠れ蓑"に身を包んだ計画が静かに進行している。(新井裕充)

 2010年度の診療報酬改定に向け、急性期病院の入院医療費について審議する中医協のDPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)が6月19日に開かれ、前年度の収入を保証する「調整係数」の廃止に伴い来年度から導入される「新たな機能評価係数」について審議した。

 議論に先立ち厚生労働省は、機能評価係数の考え方(支払いを最適化するための方策)を改めて示した。これは、昨年7月30日の同分科会で松田晋哉委員(産業医科大医学部公衆衛生学教授)の研究班が提示したもの。

松田研究班の報告(支払い最適化).jpg それによると、診療報酬で賄えない固定費的な部分について、▽一部の患者が負担する(利益を受ける)部分は現行どおり加算で対応 ▽すべての患者が負担する(利益を受ける)部分は機能評価係数で対応 ▽地域として必要な機能の整備・提供に関する部分は機能評価係数で対応─としている。

 このうち、「新たな機能評価係数」に対応するのは、「すべての患者が負担」「地域として必要な機能」の2つ。この方針に従って救急の診療報酬を改定すると、2次救急と3次救急の役割分担を明確化することができる。

 つまり、24時間365日すべての診療科の医師が当直して高度な専門医療ができるような救急病院(3次救急)については、「すべての患者が負担する(利益を受ける)部分」として固定費部分を保証する。

 これに対し、中小規模の救急病院(2次救急)は、小規模な医療圏で、"手間がかかる患者"を多く受け入れれば評価されるという仕組みが提案されている。

 このように2次救急と3次救急の機能分化と連携を図るため、厚労省は救急医療の拠点化や医療資源の集約化を進める方針。しかし、中小病院の経営悪化が叫ばれる中、「大病院と連携する中小病院がない」という事態は起こらないだろうか。

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