「出来高払い」と「包括払い」の微妙な関係 ─ 中医協(6月24日)
■ 「次期改定での導入妥当」は4項目
[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授)]
DPC(入院費の定額払い方式)の議論については、診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)とも連携しながら議論を深めていく必要があることから、本日も西岡分科会長に出席いただいている。どうもありがとうございます。
本日は、西岡分科会長から(6月19日の)「機能評価係数」に関する分科会での議論について報告していただき、それを踏まえて議論したい。では西岡分科会長、説明をよろしくお願いいたします。
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
では、説明させていただく。最初に、「診─1」(新たな「機能評価係数」に関する検討の整理)をご覧いただきたい。
これは、4月15日の基本問題小委員会で意見をいただいて整理した資料。
「新たな機能評価係数」の候補として、大きく3つに分類している。
Aの分類は「DPC対象病院において評価を検討するべき項目」(13項目)。
Bは「急性期入院医療全体として評価を検討するべき項目」(12項目)、Cは「次期の診療報酬改定では評価が困難な項目」(7項目)。
このうちAについて、「DPC評価分科会でさらに議論を深めるように」という指示を(基本問題小委員会から)頂いている。
Bの項目(急性期入院医療全体として評価を検討するべき項目、12項目)の中に、Aの項目とオーバーラップする(重なる)項目があるので、Bの項目ではカッコを付けて記載している。
これ(AとBで重なる項目)は、基本問題小委員会で議論をお願いすることになっている。(6月19日の)DPC評価分科会では、A分類の項目について絞り込みを行った。
< ABで重なる項目 >▼ 以下、機能評価係数の考え方や絞り込んだ項目の説明なので省略する。A項目は、「Ⅰ. 次期改定での導入が妥当と考えられた項目」(4項目)と「Ⅱ. 次期改定での導入を検討するため、更にデータ分析や追加の調査を実施すべきとされた項目」(6項目)に分かれている。
・ 救急・小児救急医療の実施状況及び救急における精神科医療への対応状況による評価
・ 診療ガイドラインを考慮した診療体制確保の評価
・ 医療計画で定める事業について、地域での実施状況による評価
・ 医師、看護師、薬剤師等の人員配置(チーム医療)による評価
[遠藤委員長(中医協会長)]
「新たな機能評価係数」について、(13項目を10項目に)絞り込んでいただいた。
Ⅰ. 次期改定での導入が妥当「次期改定での導入が妥当だろう」というのが大きく分けて4つ。個別にどのような指標をつくるかは不透明・不確実なところがあるが、まあ、こういう内容ではどうかということ。
1 DPC病院として正確なデータを提出していることの評価
2 効率化に対する評価
3 複雑性指数による評価
4 診断群分類のカバー率による評価Ⅱ. 次期改定での導入を検討するためデータ分析や追加調査の実施が必要
1 救急・小児救急医療の実施状況及び救急における精神科医療への対応状況による評価 (B分類と重複)
2 患者の年齢構成による評価
3 診療ガイドラインを考慮した診療体制確保の評価 (B分類と重複)
4 医療計画で定める事業等について、地域での実施状況による評価 (B分類と重複)
5 医師、看護師、薬剤師等の人員配置(チーム医療)による評価 (B分類と重複)
6 医療の質に係るデータを公開していることの評価
それから、次期改定で導入するためには、もう少し調べてみる必要があるということで、まだ(各項目に対応する)指標の案も絞られていない。指標の取り方いかんによっては、まったく結果が違ってくる(違う診療報酬になる)という性格のものが1~6まである。
従って、基本問題小委員会としては、このようにまとめていただいた案をどのように評価するか、どのような追加のお願いをするかということになる。ご質問、ご意見はあるだろうか。藤原委員、どうぞ。
▼ 例えば、救急の入院患者数をカウントする場合、「救急車」で搬送された患者をカウントするか、「自家用車」で来院して入院した患者も数に含めるかによって、数字が異なってくる。このように、計算式の違いによって病院経営に大きな差が出ることが問題になっている。医療機関は診療報酬が付かない行動を控える傾向があるため、救急患者の受け入れなどに大きな影響を与える。