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「出来高払い」と「包括払い」の微妙な関係 ─ 中医協(6月24日)

■ DPC病院を悩ませる「調整係数」の廃止
 

新たな機能評価係数の絞り込み案.jpg DPCをめぐっては、次期改定で「調整係数」が廃止される一方、「新たな機能評価係数」が導入されることが大きな話題になっている。

 「調整係数」は個別の診療行為に対して付くものではなく、医療を提供する上で必要なコスト(固定費部分)をあらかじめ保証するもの。

 例えば、救急患者を受け入れるためには、医師や看護師らを配置したり、機器や設備を稼働させたりする必要があるが、これらの費用は個別の診療報酬だけではペイできないため、「調整係数」が果たす役割が大きい。

 病院運営に必要な「固定費部分」を手厚く保証することは、医療機関の経営安定化を図る。これは、「儲かるか損するか」という経営判断を少なくして、良質の医療を提供することに貢献する。

 ところが、「新たな機能評価係数」を選定する中医協・DPC評価分科会の議論は、大きな病院に有利な機能評価係数を設定し、中小規模のDPC病院は"成果主義"にしようとする方向で進んでいる。
 つまり、厚生労働省が選定した「新たな機能評価係数」を獲得するために努力した中小病院は、なんとか倒産せずに生き残ることができるというシナリオ。

 DPC評価分科会の委員は大学病院の教授や院長らで構成されているため、「大病院さえ良ければいい」というトーンの審議が現在進行中。医療界はしばしば、「医療費の総枠を上げろ」と主張するが、診療報酬改定の議論になると、「自院が増収なら他院は減収でも構わない」という論調に変化することがある。

 6月19日の同分科会は、「新たな機能評価係数」の候補を10項目に絞り込んだ。その後、次期改定での導入を妥当とする項目4つ、追加の調査をした上で決める項目6つに整理。同分科会の西岡清会長(横浜市立みなと赤十字病院長)が、6月24日の中医協・基本問題小委員会に報告した。

 質疑で、日本医師会が"先制ジャブ"を入れたシーンをお伝えしたい。

6月24日の基本問題小委.jpg[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授)]
 それでは、委員の皆様がご着席のようなので、ただ今より「第136回中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会」を開催したい。

 本日は、小林麻理委員(早稲田大大学院公共経営研究科教授)が欠席。

 また、高橋健二委員(全日本海員組合中央執行委員)の代理で、全日本海員組合の清水保さん、竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)の代理で中川俊男さん(日本医師会常任理事)がお見えになっている。

 なお、(水田邦雄)保険局長は公務のため欠席するとの連絡を受けている。

 では、議事に移りたい。「DPCにおける新たな機能評価係数の検討について」を議題とする。

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