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次期改定で、脳卒中患者らの追い出しが加速?

■ 「実態に合った点数設定が可能になる」 ― 厚労省
 

[厚労省保険局医療課・長谷川学課長補佐]
 「DPCにおいて今後検討すべき課題」という資料を用いて説明したい。診断群分類点数表の見直しについて。3月25日に中医協・基本問題小委員会に提出し(了承され)た資料(DPCにおける今後の課題案)をご覧いただきたい。

< 調整係数廃止後の包括評価点数の在り方について >
 診断群分類毎に平均在院期間及び平均点数を用いて、入院初期に手厚くなるように包括評価しているものの、救急疾患等においては入院初期の医療資源投入量が包括評価点数を上回ってしまう状況等も指摘されている。
 調整係数によって病院毎の医療資源投入量に応じた調整を行っているが、調整係数廃止後の包括評価点数の在り方について検討が必要ではないか。
 「調整係数」が(2010年度から)段階的に廃止されるに当たり、特に前年度並みの収入の確保という部分が廃止されるので、基本問題小委員会において包括評価点数の設定方法についても当分科会で検討することとされている。

 まず、(資料の)1番。「一日当たり点数の設定方法」について説明する。現状について、別紙1をご覧いただきたい。

< 現状 >
 
(1) 通常の設定方法
 DPCの点数は現在、(1)診断群分類ごとの1日当たり平均点数 (2)平均入院期間 (3)入院期間の25(または5)パーセンタイル値─を基に点数を設定している。

(1)通常の設定方法.jpg まず、診断群分類ごとに1日当たり平均点数が決まる。「入院期間Ⅱ日」が平均在院日数。一方、四角囲みが基本点数(診断群分類ごとの1日当たり平均点数)。

 平均在院日数(入院期間Ⅱの部分)の4分の1(25%)の地点を、「入院期間Ⅰ日」と設定。その上で、「診断群分類ごとの1日当たり平均点数」のプラス15%を加える。これが、「入院期間Ⅰ」の点数。

 その後、「入院期間Ⅰ」のAの面積と「入院期間Ⅱ」のBの面積が同じになるように、「入院期間Ⅱ」の点数を決める。さらに、「入院期間Ⅱ」以降の期間は「入院期間Ⅱ」の点数のマイナス15%とする。

 さらに、「特定入院期間」というのがある。標準偏差の2倍以上(2SD)の入院期間になると、これ以降は出来高で算定する。

(2) 悪性腫瘍の化学療法の短期入院などに係る設定方法
 悪性腫瘍の化学療法など、短期入院にかかわる設定は、医療資源の投入量が多い入院初期(入院期間Ⅰ)について、通常は25%パーセンタイルのところを5パーセンタイルにする。

(2)短期入院の設定方法.jpg さらに、「入院期間Ⅰ」のAの面積と「入院期間Ⅱ」のBの面積が同じになるように点数を設定する。

< 問題点 >

 問題点は2つ。

① 入院初期の医療資源の投入量が非常に大きい場合には、入院初期では、医療資源の投入量が診断群分類点数を大きく上回っていることがある。

② 入院期間を通じて1日当たり医療資源の投入量の変化が少ない場合には、入院期間Ⅱにおいて、医療資源の投入量が診断群分類点数表を上回っていることがある。

 「問題点①」について、別紙2をご覧いただきたい。(略。入院初期の医療資源の投入量がDPCの点数を大幅に上回っているケースを説明)

 これまで、入院初期のマイナスについては「調整係数」があったのでマイナス分を補填できていた。今般、「調整係数」が段階的に廃止されるので、この問題に対応する必要がある。

 「問題点②」について、別紙3をご覧いただきたい。(略。入院期間Ⅱについて、医療資源の投入量がDPCの点数を上回っているケースを説明)

 これは、「入院期間Ⅰ」の点数を自動的に、「診断群分類ごとの1日当たり平均点数」のプラス15%としている(実態に合わせていない)ために、
このような現象が起こっている。

< 論点 >
 
 先ほど説明したように、実際の医療資源の投入量がDPC点数を上回っている場合がある。そこで、実際の医療資源の投入量にあった点数表とするため、入院初期の医療資源の投入量及び1日当たり平均点数に応じ、さらに適切な点数設定の方法を検討してはどうか。

 事務局(保険局医療課)として、とりあえず「たたき台」として2つの案を用意した。2つの案を検討していただき、さらに良い案があれば提案していただきたい。

 まず、案1について別紙4をご覧いただきたい。(中略)

 案1は、入院初期の医療資源の投入量が1日当たり平均点数に比して非常に大きい場合、(入院期間Ⅰの点数の段差の設定を)15%から25%に変更するが、実際には15%から25%に変更しても対応できない(医療資源の投入量が上回る)のではないかと考えられるので、さらにより良い案として、案2を提案する。

(案2)
ア 入院初期の医療資源の投入量が、1日当たり平均点数に比して非常に大きい場合
 入院期間Ⅰの点数:入院期間Ⅰの1日当たり包括範囲出来高点数の平均
 入院期間Ⅱの点数:入院期間Ⅰの点数及び1日当たり平均点数を基に面積がA=Bとなるように設定
 入院期間Ⅲの点数:入院期間Ⅱの点数から15%減じた点数

イ 入院初期の医療資源の投入量が、1日当たり平均点数に比して小さい場合(案1と同じ)
 入院期間Ⅰの点数:点数の段差の設定を15%から10%に変更
 入院期間Ⅱの点数:入院期間Ⅰの点数及び1日当たり平均点数を基に面積がA=Bとなるように設定
 入院期間Ⅲの点数:点数の段差の設定を15%から10%に変更

ウ 他の場合は、現行の「(Ⅰ)通常の設定方法」により点数表を作成(案1と同じ)

 案2の設定方法によると、「入院期間Ⅰ」の点数は、実際の出来高の平均点を用いるので、実態に合った点数設定が可能になると考えている。

 これにより、入院初期の投入資源が非常に多い診断群分類にも対応可能となるため、「調整係数」の段階的廃止に対応できると考えている。日当点変更(案2).jpg


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