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入院費の包括範囲の議論を開始したが......

■ 「全部出来高ではなく、なるべく分岐で」 ─ 松田委員
 

 続いて、意見交換の模様をお伝えする。包括範囲の見直しについては、「高額薬剤」「高額医療材料」「術中迅速病理診断」が議論になった。松田晋哉委員(産業医科大医学部公衆衛生学教授)は「何でもかんでも全部出来高にするのではなく、なるべく分岐で分けていくのがいい」と述べた。

[西岡清会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 包括払い範囲の見直しについて、ご議論をお願いしたい。現在、包括されているが外に出した方がいいもの、あるいは外に出ているけれども包括にした方がいいのではないかということについて、何かあれば。

[松田晋哉委員(産業医科大医学部公衆衛生学教授)]
 先ほどの「入院期間Ⅰ」の点数設定の議論にもかかわってくる。

 やはり、(抗がん剤などの)高額薬剤をどうするか、(カテーテルなどの)高額医療材料をどうするか。あと、術中迅速(病理診断)はどちらかといえば出来高でいいと思う。現在、包括評価されている中に、少し出来高にした方がいいものもある。

 ただ、(抗がん剤などの)高額薬剤を(包括評価の)外に出す(出来高にする)と、外に出さない化学療法の扱いをどうすべきかという問題が出てきてしまう。そうすると、(点数表の)分岐で分けた方がいいかもしれない。

 また、高額医療材料については、インターベンション(手術)まで行けばいいが、検査だけで終わってしまって、同じ材料を使っているのに『手術等』にならない分類があるので、その際に使われる高額医療材料をどうするか、議論しなければいけない。

 ▼ 「術中迅速病理診断」は、切り口に悪性腫瘍があるか(良性か悪性か)などを手術中に診断すること。(病理標本作製料の)「術中迅速病理組織標本作製」は、1手術につき1回算定できる(1990点、1点は10円)。医師の技術料を評価するものなので、松田研究班の藤森研司氏は4月10日のDPC評価分科会で、「ドクター・フィーっぽいやつが包括に入っている」と指摘している。

[小山信彌委員(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
 (高額医療)材料については、かなり現場からの要望が強い。カテーテルをやっても、技術点数だけは取れるが材料には一切点数が付かないのでマイナスになる。高額医療材料についても検討していただきたい。

[酒巻哲夫委員(群馬大医療情報部教授)]
 手技が複雑な疾患ではカテーテルを4本ぐらい使う場合もあるので、何らかの手当てが必要だろう。

[西岡分科会長]
 高額薬剤、高額医療材料の問題。それから、術中迅速病理診断、これは診断料は外に出ているが、(病理標本)作製料はむしろ......。

[松田委員]
 (術中迅速病理診断の)体制があるかによって、切除できる範囲がかなり変わってくる。がんの治療をする現場では。これ(病理標本作製料)はきちんと(出来高で)評価した方がいい。

 また、高額薬剤と高額医療材料について1つ考えなければいけないのは、「(仕入れ値の)値切れ」の問題がある。「本当にこの値段でいいのか」という科学的なデータがない。ここ(DPC評価分科会)で議論する問題ではないが、今後はその問題もきちんとやらなければいけない。

 ただ、何でもかんでも全部出来高にするのではなく、なるべく分岐で分けていくのがいいと思う。先ほどの「検査だけで終わってしまって、インターベンションまで行かない」という場合を出来高にするという考え方もあるが、「手術処置等2」と同じように扱うという考え方もあっていい。

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