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DPCの高額薬剤、出来高にせず ─ DPC評価分科会(7月6日)

■ DPCにおいて今後検討すべき課題② ─ 厚労省の説明
 

[厚労省保険局医療課・長谷川学課長補佐]
 資料「D-2」DPCにおいて今後検討すべき課題②をご覧いただきたい。

DPCにおいて今後検討すべき課題②(今回)

1. 高額薬剤等の取り扱い
 (1) 診断群分類で評価することが可能な場合
 (2) 診断群分類で評価することが困難な場合
2. 人工腎臓
3. 「新たな機能評価係数」における、「医療の質に係るデータを公開していることの評価」

 これは、前回(6月29日の分科会)で議論していただいた課題のうち、さらに議論を深めていただく課題を取り上げた。
DPCにおいて今後検討すべき課題①(前回)

Ⅰ. 診断群分類点数表の見直し
 1. 一日当たり点数の設定方法 (了承済み)
 2. 包括払いの範囲の見直し (継続審議)
 3. 個別の診断群分類の見直し (継続審議)
Ⅱ. DPCにおける調査
 1. E・Fファイル (統合化は継続審議)
 2. 様式1 (継続審議)
 3. DPC調査の通年化 (了承済み)

 まず、「高額薬剤等の取り扱い」について。

1. 高額薬剤等の取り扱い
 
 前回、抗がん剤や血友病等の薬剤について指摘があったので、この部分を大きく2つに分けて整理した。

 まず、高額薬剤の評価については、これまでは診断群分類のツリーを増やすことで対応してきた。これまでDPCの評価方法について、出来高での評価も含め、さらに検討を行うべきとの指摘があった。

 今回、薬剤の性格から2つに分けた。1つは、診断群分類で評価することが可能な場合。もう1つは、診断群分類で評価することが困難な場合に分けて、対応案を相談したいと考えている。

(1) 診断群分類で評価することが可能な場合
 まず1つ目、「診断群分類で評価することが可能な場合」について。高額薬剤を使用した場合の診断群分類について、高額薬剤を出来高で評価した場合の取り扱いは、「高額薬剤を使用した場合の診断群分類のツリー」が削除されるので、「高額薬剤を使用しない患者と同じ診断群分類」で評価されることになる。

 つまり、従来は「高額薬剤を使用した場合のツリー」があるが、それがなくなるので、「高額薬剤を使用しない患者と同じツリー」になってしまうという問題。

 しかし、高額薬剤を使用する患者と使用しない患者では、在院日数等に大きな差異がある場合も多い。別紙をご覧いただきたい。0706DPC評価分科会別紙.jpgこれは現在の点数表から取り出した。

 高額薬剤を使用した群と、使用しない群では在院日数に関して大きな違いがある。脳梗塞の場合、脳梗塞の治療薬「エダラボン」を使用した場合と使用しない場合で、どの程度、入院期間などが異なってくるか。

 入院期間を見ていただくと、2倍ぐらいの違いがある。そもそも患者群が異なっている。胃の悪性腫瘍、クローン病も同様の傾向。

 また、関節リウマチは在院日数が逆転現象を起こしている。薬剤を使う方が在院日数が短くなっている。このほか、子宮頸・体部の悪性腫瘍や多発性骨髄腫など、そもそも対象となる患者群が異なっていることがお分かりになると思う。

 再び、資料「D-2」に戻っていただきたい。

 このように、大きく群として分かれているので、そのような場合に仮に「高額薬剤を使用した場合のツリー」をなくして一本化した場合、同じ診断群分類のツリーで評価することは適切ではないのではないかと考えている。

 そこで対応策だが、高額薬剤を出来高で評価することとしても、結局、高額薬剤を使用した場合と使用しなかった場合でツリーを分けざるを得ないのではないか。 このことを考慮すると、このような場合については、高額薬剤を出来高で評価する必要はそもそもなくなってしまうのではないかというのが私ども事務局(保険局医療課)の考え。ここはご議論いただきたい。

(2) 診断群分類で評価することが困難な場合
 次に2点目。ツリーで分けることが難しい場合(診断群分類で評価することが困難な場合)。

 例えば、HIV感染症や血友病等は慢性的に高額な薬剤を投与しなくてはならない。他疾患の治療のために入院し、他疾患が医療資源を最も投入した傷病名となった場合には、HIV感染症や血友病等の高額薬剤の費用が十分に反映されていないとの指摘があった。

 また、逆のパターンもある。他疾患で入院して、HIV感染症や血友病等の高額薬剤が最も多く投入された場合は、他疾患の費用等が十分に反映できないという問題がある。

 このような場合は、他疾患の個々の診断群分類に、HIV感染症や血友病等の高額薬剤による分類をツリーとして設定することが非常に難しい。すべての項目においてツリーを分けなければならないので非常に難しい。この場合は、どのように対応すべきかをご議論いただきたい。

 例えば、このように分けるのが難しい例では、HIV感染症や血友病等の高額薬剤については外に出して、出来高で評価するのも1つの考えかと思っている。次は、人工腎臓について。

2. 人工腎臓について
 
 こちらは先ほどの「(2) 診断群分類で評価することが困難な場合」と似た状況。

 人工腎臓を実施する慢性腎不全では、人工腎臓の費用が大変高額。この場合、他疾患の治療目的で入院した場合であっても、入院期間中に人工腎臓を実施すると、医療資源を最も投入した傷病名が慢性腎不全となる場合がある。このことによって、支払いおよび統計データとしての問題が生じているとの指摘が、このDPC評価分科会でもあった。

 一方で、他の疾病が医療資源を最も投入した傷病名となった場合には、1の(2)の場合と同様に、診断群分類では人工腎臓の費用が十分に評価されないことがあることも指摘されている。 これについても、1の(2)の場合と同様に対応を検討すべきということで、先生方でご議論いただきたい。

 次は裏のページ。最後の項目。

3. 「新たな機能評価係数」における「医療の質に係るデータを公開していることの評価」

 先般、この項目についてDPC評価分科会で議論していただいたが、医療の質を評価する具体的項目については、診療科ごとの医学的知見を必要なので、「MDC毎班会議」で検討していただいてはどうか。この点についてもご意見を頂きたい。事務局(保険局医療課)からは以上。

[西岡清分科会(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 ありがとうございました。では、順番に議論をお願いしたい。まず、高額薬剤等の取り扱いについてご意見をお願いしたい。

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