診療科の収支調査、狙いは医師人件費の実態把握?
■ 赤字の皮膚科、「外来主体なのでこんな結果」 ─ 西岡委員
[田中滋分科会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)]
どうも、ありがとうございました。では、ただ今の説明について、質問やご意見があればお願いしたい。(中略)
[西岡清委員(横浜市立みなと赤十字病院長、DPC評価分科会長)]
全体的に外来はマイナス(赤字)、入院はプラス(黒字)だが、両者を合わせると3つぐらいのパターンが出てくる。
1つは、(資料の図で)真ん中ぐらいの分布(プラスマイナスゼロ)の内科や外科など。もう1つは眼科のようにほとんどプラスになってしまうもの。
さらにもう1つは、皮膚科のように完全にマイナスになってしまう、そんな3つのパターンに分かれてくるという理解でよろしいだろうか。
それともう1つは、そうなってくる理由が本当は知りたい。それに関する何らかの調査結果などはあるだろうか。
[厚労省保険局・小野太一保険医療企画調査室長]
まず、(図の)分布に関しては、西岡先生がおっしゃった通りに私どもも見ている。真ん中に固まるもの(診療科)と、右(黒字)に行くものと左(赤字)に行くものがある。
分析に関しては私どもはないのですが......、どうでしょう、もし池上先生、何かありましたらお願いします。
[池上直己・慶大教授(調査専門組織委員、慢性期入院医療の包括評価調査分科会長)]
いや......、これはこういう収支の実態であり、現在の診療報酬点数の構成からするとこのような実態となったということ。それについて、どういう行為を行ったからプラスであるとかマイナスであるということまでの分析はできていない。
[西岡清委員(DPC評価分科会長)]
私は皮膚科の医者だから(赤字の)皮膚科について(理由を)言えるのだが、皮膚科の場合は全体的に入院患者の数がそんなに多くない。外来が主体になるので(入院で赤字分を吸収できず)、しかも外来でマイナスがドッと大きくなってしまうので、こんな結果になるのかなと理解している。
だから、同じ診療科でも入院がメーンの所と、外来がメーンの診療科とでかなり(収支が)分かれてくるのかな、入院医療に関して。そんなことも言えるのかな、と思ったのだが、それはちょっと言い過ぎだろうか?
[小野太一・保険医療企画調査室長]
それは私どもとしてどうこう、ということではなく、「そういう解釈の仕方もあるんだろうな」と、西岡先生のコメントから勉強させていただいた。(中略)
[西田在賢委員(静岡県立大大学院経営情報学研究科教授・大学院附属地域経営研究センター長]
(国立公立、医療法人、その他─の3つに分類されている)「開設者」について。
最近の動向から、従来の「国公立」の分類でいいのか疑念を持ち始めている。独法化した国立(大学)の経営状況と、一方で大変困窮し始めている公立病院群。これは、違う動きになってきたかなという懸念がある。何か調べているだろうか。
[小野太一・保険医療企画調査室長]
今、ご指摘の点については、私ども、ちょっと分けて分析していない。
[田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
重要なご指摘。これから考えたいということ。椎名委員、どうぞ。
[椎名正樹委員(健康保険組合連合会理事)]
(略。今回と前回の調査の両方に参加した病院数、その収支の変化などを質問。小野室長は、調査対象127病院のうち、前回と今回の両方に参加したのは49病院と回答。その49病院が08年度改定でどのように収支が変化したかは分析していないと回答した)
[手島邦和委員(昭和薬科大大学院客員教授)]
(医業費用の中の)「材料費」に「医薬品費」が入っている。これは各診療科が使った医薬品が含まれていると思うが、医薬品を取り扱う薬剤部門の人件費は入っていない?
[小野太一・保険医療企画調査室長]
薬剤部で働いている薬剤師の人件費は、いわゆる「中央診療部門」に積み上げて、「階梯式配賦法」で、それぞれの診療科に割り付けている。
[手島委員(昭和薬科大)]
入院と外来でかなり収支状況が違う。外来の場合、院外処方が出ている病院と、そうでない病院との区別は付くか?
[小野太一・保険医療企画調査室長]
申し訳ない。この調査では、その区別は付かない。(しばらく沈黙。中略)
【目次】
P2 → 赤字の皮膚科、「外来主体なのでこんな結果」 ─ 西岡委員
P3 → 「10~15年前とは全く逆」 ─ 石井委員
P4 → 「今の診療報酬で医療の高度化に対応できない」 ─ 猪口委員
P5 → 「入院と外来を分けずにトータルで」 ─ 小山委員
P6 → 「慢性期の中小病院が反映されていない」 ─ 尾形委員
P7 → 「今後は『診療科群』という単位で比較すべき」 ─ 池上教授
P8 → 「医療経済実態調査との関係を整理すべき」 ─ 椎名委員