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ニュース〜医療の今がわかる

診療科の収支調査、狙いは医師人件費の実態把握?

■ 「入院と外来を分けずにトータルで」 ─ 小山委員
 

[小山信彌委員(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長、日本病院団体協議会議長)]
小山信彌委員0710.jpg ちょっと教えていただきたい。新参者なのでよく分からないので。「外来はマイナス」という数字が出ているが、これは何が足を引っ張っているのかということは分かっているのだろうか?

[小野太一・保険医療企画調査室長]
 事務局(保険局医療課)としては、特にこれというものは持っていないので、むしろ先ほど猪口先生がおっしゃったようなポイントをほかの先生方から、いろいろサジェスチョン(示唆)していただければ幸いでございます。

[小山委員(日病協議長)]
 実際に病院で働いていて感じることは、あれだけの外来がないと入院の患者さんを確保できないという「バックアップ」。今の(猪口委員の)話でも、「外来はやめた方がいいんじゃないか」という話が出るが、「外来をやめたら入院がいなくなっちゃう」というのが今の日本の医療の現状だと思う。

 その中で、「なぜマイナスなのか」を見てみないと、もうちょっと追究してみないと、どうして外来がマイナスになるのかという要素だけでも見ないと、単に比較して「プラスだ」「マイナスだ」と言うのでは、少し危険なことになるのではないかという感じがする。

 ▼ 「外来が赤字」ということよりもむしろ、「入院が黒字」というデータの利用法を気にしているのではないかと考えるのは少し深読みか。「入院が黒字」という結果が独り歩きすると、「入院基本料を上げる必要はない」という議論になる恐れもある。

[松田晋哉委員(産業医科大医学部公衆衛生学教授、DPC評価分科会委員)]
 入院と外来について。たぶん一番大きな原因は、(医業費用の中の)「給与費」。もう1つは、「設備関係費」。ここでかなり差が出てきている。これは、「どのように外来と入院(の費用)を配賦するか」という問題になってくる。

 今、池上先生とも話していたのだが、例えば「レセプトの作成費」みたいなものなど、いろいろな事務の人件費を患者数やレセプト数で按分してしまうと、どうしても外来の方が重くなってしまう。そういう技術的なこともあるんだろうと思う。

 そういう意味で、「入院・外来計」で(収支を)見た方が、データとしては望ましいのかなと思う。

[小山委員(日病協議長)]
 病院の運営の中で感じていることは、できれば病院としては外来は少ない方がいい。入院に特化できるから。でも、入院に特化してしまうと、外来の収益がないから病院の運営ができなくなるというのが、われわれ一般的......、一般的というか僕個人かもしれないが、そういう印象の中で動いている。

 だから、外来患者さんをあまり減らせないという現状がある。だけど、(今回の調査で)出てくる数字を見ると、現場で肌で感じている数字とちょっと乖離しているかなという感じがする。

 それが、松田先生がおっしゃったような経費の振り分けのやり方によって、もしもそういうことが出るんだとしたら、入院と外来を分けずに、(入院・外来)トータルの中で話をした方が安全なのかなという感じがする。

 【目次】
 P2 → 赤字の皮膚科、「外来主体なのでこんな結果」 ─ 西岡委員
 P3 → 「10~15年前とは全く逆」 ─ 石井委員
 P4 → 「今の診療報酬で医療の高度化に対応できない」 ─ 猪口委員
 P5 → 「入院と外来を分けずにトータルで」 ─ 小山委員
 P6 → 「慢性期の中小病院が反映されていない」 ─ 尾形委員
 P7 → 「今後は『診療科群』という単位で比較すべき」 ─ 池上教授
 P8 → 「医療経済実態調査との関係を整理すべき」 ─ 椎名委員

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