診療科の収支調査、狙いは医師人件費の実態把握?
■ 「慢性期の中小病院が反映されていない」 ─ 尾形委員
[尾形裕也委員(九州大大学院医学研究院医療経営・管理学講座教授)]
一般的なコメントを2点。まず、サンプルについて。病床規模別の数字で見ると、(127病院のうち)「500床以上」が19%、「200~499床」が56%(71病院)というのは、日本の病院の全体の分布から見ると、かなり大規模病院にウェイトがかかっている。
「500床以上」は、恐らく日本全体では5%程度だと思うし、「200~499床」も3割ぐらいじゃないかと思うので、(主な調査対象が)「大規模(病院)だ」ということが1つ。
それから、一般病床でDPC対象病院、DPC準備病院(を対象にした調査)なので、急性期医療を中心としている病院。ということは、「中小病院で慢性期」みたいな病院はあまり反映されていない。これはあくまでも、そういう病院のデータだというのが1つ。
(公認会計士の石井委員、大きくうなずく)
それから、先ほどから(意見が)出ているデータ(入院黒字、外来赤字)、非常に面白いと思うのは、入院に関してはあまり規模の差が出ていなくて、一方、外来の落ち込みの程度によって全体としての収支が決まってきている面がある。
特に、「200~499床」の外来の落ち込みが大きいので、この辺を「どうしてなのか」というあたりを分析すると、何か方法が分かってくるような気がする。入院に関してあまり病床規模別の差が出ていないのが、逆に面白い点かなという気がする。以上。
[田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
ありがとうございました。(中略)
[西田委員(静岡県立大大学院経営情報学研究科教授)]
外来を取らないと入院患者を確保できないということはあると思うが、望ましくは紹介の外来がどれぐらい増えているか、それでいて収支が取れなければこれは大問題だという論旨で、紹介患者の割合なども表の中に反映する方法があれば、ご検討願いたい。
[田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
「配賦」をして入院と外来を出す精緻な統計をつくることがわれわれに与えられた課題で、その結果、改善してここまで来た。
[西田委員(静岡県立大大学院経営情報学研究科教授)]
改善した? それで相変わらず......。
[田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
(池上委員に)それについて、いかがだろうか? 作成の側としては......。
【目次】
P2 → 赤字の皮膚科、「外来主体なのでこんな結果」 ─ 西岡委員
P3 → 「10~15年前とは全く逆」 ─ 石井委員
P4 → 「今の診療報酬で医療の高度化に対応できない」 ─ 猪口委員
P5 → 「入院と外来を分けずにトータルで」 ─ 小山委員
P6 → 「慢性期の中小病院が反映されていない」 ─ 尾形委員
P7 → 「今後は『診療科群』という単位で比較すべき」 ─ 池上教授
P8 → 「医療経済実態調査との関係を整理すべき」 ─ 椎名委員