診療科の収支調査、狙いは医師人件費の実態把握?
■ 「今の診療報酬で医療の高度化に対応できない」 ─ 猪口委員
[猪口雄二委員(医療法人財団寿康会理事長、全日本病院協会副会長)]
病床規模別の収支状況を見て感じるのは、「外来はこんなに赤字でやっているのか」ということ。特に、200床以上の病院は外来診療料で、199床までは初診料・再診料が算定されるが、にもかかわらず、(199床以下の病院の外来が)マイナス13%というすごい赤字が出ている。
(調査結果に)「どこまで信憑性があるか」ということもあるが、「こんなに赤字なのか」というのが1つある。
それは、「他科受診しても1診療科しか点数が取れない」ということがすごく影響しているのかなと思うが、こういうこと(外来は赤字という結果)がどんどん世の中に出て行くと、「病院は外来をやめた方がいいんだ」というような話になっていくと、どうなのかなという気がする。
全体的なことを言えば、、(黒字の)入院と(赤字の)外来を合わせて、(20~199床が)0%(総収支差額ゼロ)、(200~499床がプラス)1%、(500床以上がプラス)2%というレベル。
これはどういうことかと言うと、「全く利益がない」ということ。
「全く利益がない」ということは、病院は再生産していけない(新たな設備投資ができない)。減価償却を含んでいるからその部分はできるにしても、恐らく医療の高度化とか、そういうものに今の診療報酬で対応することはできないと私には見えてしまう。
以上、これを見た感想を言わせていただいた。
[田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
ありがとうございました。
(しばらく沈黙)
【目次】
P2 → 赤字の皮膚科、「外来主体なのでこんな結果」 ─ 西岡委員
P3 → 「10~15年前とは全く逆」 ─ 石井委員
P4 → 「今の診療報酬で医療の高度化に対応できない」 ─ 猪口委員
P5 → 「入院と外来を分けずにトータルで」 ─ 小山委員
P6 → 「慢性期の中小病院が反映されていない」 ─ 尾形委員
P7 → 「今後は『診療科群』という単位で比較すべき」 ─ 池上教授
P8 → 「医療経済実態調査との関係を整理すべき」 ─ 椎名委員