医師の給与、コスト調査で切り下げか ─ 中医協分科会
■ 「調査を簡素化して、多様な医療機関の参加を」 ─ 厚労省
[厚労省保険局・小野太一保険医療企画調査室長]
はい。お手元の資料「診調組 コ─2」と、参考資料「調査項目と病院の負担に関するアンケート調査」をご覧いただきたい。
まず、「アンケート調査」について説明する。これは、アンケートに回答した医療機関が(記入の負担などを)どのように感じているかを調べた。(中略)
実は、この部門別(収支の)調査は大変詳細なものなので、(今回の調査で)お声掛けした190病院のうち3分の1は脱落してしまった。
(参考) 調査項目と病院の負担に関するアンケート調査調査参加を依頼したのは、597病院(うち、回答したのは127病院)。そういった(手間のかかる)調査。管理会計の手法が各病院で違うので、わざわざ取らなければならない数字が結構ある。・ 調査対象とする病院の目標数 140病院
・ 調査参加を依頼した病院数 597病院
うち、当初依頼病院数 348病院
うち、追加依頼病院数 249病院
・ 参加応諾した病院数 190病院
うち、中途で脱落した病院数 63病院
・ 最後まで調査に参加した病院数 127病院
うち、DPC対象病院 91病院
DPC準備病院 36病院
そこで、今後の方針案について。
これは、当分科会として、「このような方針で検討してはどうだろうか」と、分科会長から(中医協)基本問題小委員会にご相談いただくためのペーパーという位置付けでご理解いただきたい。(略。以下、資料に沿って説明。資料の記載は次の通り)
1. 経緯
「医療機関の部門別収支に関する調査」は、平成15年3月28日の閣議決定に基づき、診療報酬体系に医療機関のコスト等を適切に反映させるため、医療機関の診療科部門別収支の統一的な計算手法を開発することを目的とし、平成15年度から調査研究を開始した。
※ 健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条第2項の規定に基づく基本方針(平成15年3月28日 閣議決定)
2. 平成20年度調査に関する評価について
以後、「医療機関のコスト調査分科会」において研究・検討を重ね、平成20年度においては、平成19年度までの成果を用いた「調査」を試行的に行った。
その結果は、平成19年度までの研究での結果と概ね同様の傾向を示すなど、調査結果も安定しており、「精度の高い調査となった」と評価することができる。
3. 課題
一方、これまでの取り組みにおいて、
① 調査客体となり得る医療機関が結果的にDPC対象病院、準備病院に限られてきている、
② 調査項目によっては本調査のために別途データを取るなど、調査客体医療機関の負担が大きい、
といった課題が生じているところである。
今後、本調査を平成15年3月の閣議決定を踏まえた診療報酬改定の基礎資料としていくためには、これまでの取り組みの成果を生かしつつ、経営規模やDPC採用の有無に左右されない、可能な限り多様な医療機関のデータを用いることができるよう、医療機関にとってより調査参加が容易なものとすべきと考えられる。
4. 今後の方針(案)
以上のことを踏まえて、平成21年度においては、平成20年度調査に参加し、最後まで調査に参加した医療機関及び途中で調査を辞退した医療機関に対し、本調査における負担や問題点等を調査し、その結果を参考に今後の調査に向けた簡素化の方法について検討してはどうか。
【目次】
P2 → 「調査を簡素化して、多様な医療機関の参加を」 ─ 厚労省
P3 → 「コスト計算に基づく診療報酬の構築を」 ─ 猪口委員
P4 → 「ケアミックス病院は、『診療科群』に準じた扱いで」 ─ 池上教授
P5 → 「総合診療ベースで見るなど切り口を変えて」 ─ 佐栁委員
P6 → 「フランスでは、医師や看護師らの給与の『標準原価』を計算」 ─ 松田委員
P7 → 「管理不能なコストを診療報酬で反映することが必要」 ─ 石井委員
P8 → 「標準原価と実際原価は二者択一の関係ではない」 ─ 池上教授
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