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ニュース〜医療の今がわかる

医師の給与、コスト調査で切り下げか ─ 中医協分科会

■ 「標準原価と実際原価は二者択一の関係ではない」 ─ 池上教授


[池上教授(調査研究委員会の委員長)] 
 先ほど、松田先生が「標準原価」と「実際原価」の話をしたが、私は、二者択一の関係にあるとは思わない。というのは、「標準原価」で給与費を......、例えば昔の国家公務員の給与体系に固定してやるのは日本の医療の実態を適切に反映していないと思うので、給与体系は各病院の体系を積み上げることによって、むしろその標準なり平均値が実態としての人件費と考えるべきではないか。

 それから、「二者択一でない」というのは、限りなく「実際原価」に近づけようと思えばできる(という意味)。例えば、「特殊原価調査」を行うことによって、実際に当該病院の手術時間や、それに対応する医師数、看護師数が分かればその病院固有の「係数」を用いて計算した方が精緻であるのは明白である。

 しかし、この調査で計算した、「特殊原価調査」で得られた「等価係数」という標準値を用いて、医師が手術室でどのぐらい時間を割いているかということに基づいて算定した方が、ただ単に標準値を用いるよりも、より精緻になってくる。

 (診療科別収支の調査は)病院がこのデータをどのように活用したいかという観点から、負担をかけずにより精緻な数値を投入していくか。ただ、公の調査とした場合には、可能な限り「実際原価」に近いものを積み上げたものが実態として存在するのではないかという気がする。

 ※ 2008年6月13日に開催された前回会合で、池上直己委員は次のように説明した。

「一般原価調査」は、それぞれの収支状況を診療科別に見る。
 「特殊原価調査」は、耳慣れない用語かもしれませんけれども、結局これは病院の治療診療部門、手術、検査、画像診断などこういった部門は、そこの費用をどうやって各診療科に配賦したらいいかということで、「等価係数」という考え方を用います。
 「等価係数」というのは、DPCと同じように、ある基準値となる手術に対してほかの手術がどのくらい費用がかかっているか、あるいは同じように、基準となる単純X線に対してほかの画像診断がどのぐらい費用がかかるかということを相対的に見るための調査であります。それらを合わせてこの診療科別の収支を把握する。収支計算の方法としては、「階梯式配賦方法」というのがございまして、順に計上していくわけです。
 [田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
 両者の関係について、説明ありがとうございました。

 (しばらく沈黙)

 一通りご意見を伺ったということで、よろしいだろうか。では、この議題はここまでとさせていただく。どうもありがとうございました。

 では、先ほど(了承した「平成20年度医療機関の部門別収支に関する調査報告案」)と同じことだが、「医療機関の部門別収支に関する調査の今後の方針(案)」について、本分科会で了承いただいたということで、よろしいだろうか?

 (「異議なし」との声あり。了承)

 ありがとうございます。中医協の診療報酬基本問題小委員会の求めに応じて、私から報告する。これもご承認いただいてよろしいだろうか?

 (「異議なし」との声あり。了承)

 ありがとうございます。では、そのような取り扱いにさせていただく。
 いつも、報道の方々にお願いというか伝達だが、この分科会で議論された内容は、中医協の診療報酬基本問題小委員会の了承を得てはじめて成案となる。われわれは、こういう形で報告すると決めたまでであって、成案となるかどうかは基本問題小委員会で決まる。その旨、ご留意いただきくことをよろしくお願いしたい。

 以上で、予定していた議題を終了した。では、これにて本日の分科会を終了する。次回の開催について事務局(保険局医療課)より説明をお願いしたい。

[小野太一・保険医療企画調査室長]
 追って連絡させていただきたい。

[田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
 これにて、「第15回医療機関のコスト調査分科会」を終了する。本日は、お忙しい中どうもありがとうございました。(散会)

 【目次】
 P2 → 「調査を簡素化して、多様な医療機関の参加を」 ─ 厚労省
 P3 → 「コスト計算に基づく診療報酬の構築を」 ─ 猪口委員
 P4 → 「ケアミックス病院は、『診療科群』に準じた扱いで」 ─ 池上教授
 P5 → 「総合診療ベースで見るなど切り口を変えて」 ─ 佐栁委員
 P6 → 「フランスでは、医師や看護師らの給与の『標準原価』を計算」 ─ 松田委員
 P7 → 「管理不能なコストを診療報酬で反映することが必要」 ─ 石井委員
 P8 → 「標準原価と実際原価は二者択一の関係ではない」 ─ 池上教授

 
  
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