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ニュース〜医療の今がわかる

医師の給与、コスト調査で切り下げか ─ 中医協分科会

■ 「コスト計算に基づく診療報酬の構築を」 ─ 猪口委員
 

[田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
 (医療機関の診療科部門別収支の統一的な)計算方法の開発としては、精度が高くなった。ただし、今のレベルの調査を日本のいろいろな病院に行うことは大変難しいぐらい、記入が難しいもの。

 椎名委員が「これをどう使うか」(調査結果を次回改定に活用するのか)と指摘したが、方法としては確立したのだから、その骨格を残しつつ簡素化したいというのが(厚労省の)原案。そのための調査を今年度実施する。

 この問題について、先生方のご意見、ご質問をどうぞ。

[池上直己・慶大教授(調査研究委員会の委員長、中医協の診療調査専門組織委員)]
 1つ補足させていただきたい。データを入手するために病院にかける負担と、データが全体の診療科部門別収支に与える影響、インパクトをもう少し精緻に分析して、病院側に大変な負担をかけた割には、収支に対する影響があまり大きくない、あるいは概算方法で机上の推計に基づいて行った場合に、どの程度ぶれることがあるかという、いわゆるデータベースを用いた解析も可能であるということを付け加えさせていただきたい。

[田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
 ありがとうございました。どうぞ、ご質問やご意見をお願いしたい。

[猪口雄二委員(医療法人財団寿康会理事長、全日本病院協会副会長)]
 この調査を「四病協」(四病院団体協議会)などで始めたころから比べると、「本当に、よくここまで精緻化されてきたな」というのが最初の感想。

 ただ、最初はDPC(病院かどうか)に関係なくレセプト(調査)からつくっていたように思うが、途中からデータを整理しきれないという理由で、(事務能力のある)DPC病院に限られてきた。

 しかし、先日(7月8日)、(レセプト調査やコスト調査の集計結果が公表された)慢性期(入院医療)の(包括評価調査)分科会(分科会長=池上直己・慶大医学部教授)で、慢性期の病院はDPCが関係ないが、それはそれできちんと出せている。

 「今の日本の診療報酬は何かエビデンスがあるのか」という話をすると、たぶんないんだと思う。「入院基本料」がなぜあの値段なのか、たぶん答えられないような状況。そうするとわれわれは、「これがいくらになるから、それに合わせてやりましょう」という形で必死にやっても、やっとゼロパーセントの収支という現状が日本の医療。

 これはやはり、コストをきちんと計算して、それに基づいて診療報酬が構築されるという方向に進まないと、診療報酬は「実態」(を表したもの)ではなく、「何らかの政治力学」で決まってくるのだとすると、これは、良い医療は保障されない。

 私は、こういうこと(コスト調査)をどんどん進めていって、きちんとしたデータに基づいた診療報酬を構築するという方向に進むために、このコスト(調査)分科会はあるんだろうと思っている。ぜひ、そういう方法で進めていただきたいと思う。

 ▼ 「性善説」に立てば、コスト調査を進めるべきかもしれない。しかし、もし本当に医療機関のコストを診療報酬に適切に反映させるための調査であるならば、2008年度の診療報酬改定の前後で、内科外来の収益がどのように変化したかを調査したはず。今回の調査では、そのような比較をしていない。08年度改定では、おおむね5分の診察を必要とする要件が「外来管理加算」に加わり、外来収入が大幅にダウンしたと批判されている。これまでは入院の収入で吸収できていた外来の赤字が、08年度改定によってもはや吸収できない程度まで悪化したとの見方もできる。ならば、「外来は赤字」という調査結果に基づいて「外来管理加算」を見直す議論に進むはずだが、そんな気配はない。

[田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
 ありがとうございます。西田委員、どうぞ。

 【目次】
 P2 → 「調査を簡素化して、多様な医療機関の参加を」 ─ 厚労省
 P3 → 「コスト計算に基づく診療報酬の構築を」 ─ 猪口委員
 P4 → 「ケアミックス病院は、『診療科群』に準じた扱いで」 ─ 池上教授
 P5 → 「総合診療ベースで見るなど切り口を変えて」 ─ 佐栁委員
 P6 → 「フランスでは、医師や看護師らの給与の『標準原価』を計算」 ─ 松田委員
 P7 → 「管理不能なコストを診療報酬で反映することが必要」 ─ 石井委員
 P8 → 「標準原価と実際原価は二者択一の関係ではない」 ─ 池上教授

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