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ニュース〜医療の今がわかる

地域医療の荒廃、「選択と集中」が原因

■ 「昨今の経済情勢や健保組合の財政に配慮すべき」 ─ 経団連
 

[齊藤正憲委員(日本経団連社会保障委員会医療改革部会長)]
 経団連の齊藤です。診療報酬の引き上げを求める声が強いということは分かっているが、改定率の検討に当たっては、昨今の経済情勢とか健保組合の財政情勢などを十分に配慮してやらないといけないだろうと思う。

 2点目は、「医療提供体制の底上げ」ということで、診療報酬の大幅な引き上げが必要だという指摘もあるが、全体を引き上げたら、社会で問題になっている救急医療の充実や産科、小児をはじめとする勤務医の負担軽減策とか、全部を一緒に同じにしたのでは、また同じように、「そういう(診療)科の人(医師)も全部一緒か」ということになるので、この辺については、いろいろな検討等が必要だろうと考えている。

 また、従来から、前回(改定)からずっと言われている病院と診療所の再診料の格差の是正なども積み残した課題だろうと思っている。このほかにも、効率的な医療提供体制をいかに確立するかという視点も重要だし、地域医療の連携も強化していかなければいけないと思っている。

 3点目は、救急医療の充実などにおいて各種の予算措置がなされているが、診療報酬上の手当てとの重複がないようにしていかないといけない。診療報酬と公費との役割分担をより明確化していくべきではなかろうかと思っている。

 4点目としては、今後の高齢化に伴い医療費は増大していくので、診療報酬のような相互扶助で対応する限界、どこまでを相互扶助でやるのかという中で、より自助努力ということも検討していかなければならないのではないか。以上。

[逢見直人委員(日本労働組合総連合会副事務局長)]
 連合の逢見だが、今回の診療報酬改定に当たっては、2つほど論点があると思う。1つは、地域医療の再生について、診療報酬の観点からどのようなことをしていくか。今回、(医政局から)示された資料にあるように、救急医療が崩壊の危機にあるということを事実として深刻に考えなければいけない。

 ただ、これは診療報酬改定だけで解決できる問題ではなく、さまざまな医師不足対策、財政難を理由に自治体病院の閉鎖などがあるが、こうした問題について、地域医療全体として考えなければいけない課題がある。診療報酬という点で言えば、やはり「急性期医療を支える診療報酬」という視点で見直すべき点があるのではないかと思う。

 もう1つの側面は、診療報酬の引き上げが議論になるが、これは当然、保険料負担に跳ね返るということも考えながら議論していかなければいけない。国保や協会けんぽなどの財政状況が非常に厳しくなっている。後期高齢者医療等に対する拠出金もあるし、昨年秋以降の「経済危機によって保険料収入が減少している。

 「国民皆保険制度」を維持しつつ、国民が安心して必要な医療を受けられるという診療報酬にしていくためには、やはり限られた財源をまさに「中期プログラム」で示されたように、「選択と集中」の考え方に基づき、診療報酬の配分を見直すという視点で、限られた財源を大胆にシフトしていく、そういうダイナミックな診療報酬の見直しが必要ではないかと思っている。

[小林剛委員(全国健康保険協会理事長、中医協委員)]
 今、「協会けんぽ」の話が出た。資料4(平成20年度全国健康保険協会決算報告書の概要)で、事務局(保険局)から詳しく説明があると思うが、平成20年度の「協会けんぽ」の財政は、経済の低迷の下、保険料収入の落ち込み等で極めて厳しい状況にある。(中略)

 とても、保険料負担の増大につながるような全体を引き上げるような状況にはないと考えている。こうした経済情勢との関係も十分考慮する必要がある。

 「骨太方針2009」にもある「選択と集中」は、企業経営でもよく使われる考え方だが、要は何を選択し、何に集中し、何を合理化するのか。限られた資源の中、配分、メリハリをどうするかを考えていく必要がある。

 こうした観点から、病院と診療所の格差をどう考えるのか、その上で、救急、産科や小児科等にどう重点化していくのか、「選択と集中」を考えていく必要がある。(中略)患者負担に反映される診療報酬と予算措置との役割分担をよく考えていく必要がある。以上。

[岡崎誠也委員(全国市長会国民健康保険対策特別委員長、高知市長)]
 保険者の立場から発言させていただく。(略。財政が厳しいとの訴え)

[対馬忠明委員(健保連専務理事)、中医協委員]
 今、経済界、各保険者からお話があったが、健保組合もまったく状況は同じというか、もっと厳しいくらいの状況。(中略)そういった状況を考えると、やはり重点化というか、「選択と集中」というか、そういったことが必要不可欠だろう。産科、小児科、救急あたりに重点的に投入していくということ。

 前回、前々回の医療保険部会の議論もそうだが、診療報酬の中である程度グループ分けをして、ここは重点的な分野、ここは効率化を図る分野だということをもっとはっきり分けて、全体の財源構造、配分を大幅に変えていくことが必要だろう。

[渡辺三雄委員(日本歯科医師会常務理事、中医協委員)]
 私は歯科の立場から述べたい。(略。歯科も厳しい状況だと指摘) しかし、そういう状況ではあるが、国民に安心で安全な歯科医療を提供するために頑張っていきたいが、やはり、次期改定においては、十分な改定率をもって重点的な評価をしていく必要があるのではないかと思っている。私の意見は以上。

[糠谷真平部会長(国民生活センター顧問)]
 ほかに......、樋口委員、どうぞ。

 【目次】
 P2 → 「さまざまな配分の見直しが考えられる」 ─ 厚労省
 P3 → 「全体的に見ていかなければならない」 ─ 日医
 P4 → 「昨今の経済情勢や健保組合の財政に配慮すべき」 ─ 経団連
 P5 → 「医療は『選択と集中』よりも『分散と公平』で」 ─ 樋口委員

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