各団体の思惑が渦巻く救急医療 ─ 7月15日の中医協
■ 「国や都道府県の補助金等を受けている病院も多い」 ─ 日医
[藤原淳委員(日本医師会常任理事)]
「救急医療は不採算部門」という位置付けで、国や都道府県の補助金等を受けている病院も多いと思う。
救急医療提供体制の全体像を見るためには、やはりそういったところ(補助金の交付がある救急医療)も見ていく必要があるのではないか。
要するに、調査項目の1つにそういったところも加えることはできないかどうかお聞きしたいというか、調査していただきたいと思うが。
[遠藤委員長(中医協会長)]
財源というか、収入の中身も調査したいということ?
[藤原委員(日医)]
全体像をつかんで......。
恐らく、このことを議論していくと、「(救急医療に)どれだけ割り振っていかなくてはいけないか」ということにもつながってくると思う。「救急医療は診療報酬だけで見ていいのか」という問題もあるし、もしそういったところ(補助金)もつかまえることができるなら、そういった視点(補助金の交付を受けているなら診療報酬での手当ては不要という考え)からも、そういった調査項目に加えていく方がいいのではないかと思う。
[遠藤委員長(中医協会長)]
調査項目について財源の構成も聞いたらどうかという指摘。これについて他の委員の方、何かご意見は? 対馬委員、どうぞ。
[対馬忠明委員(健保連専務理事)]
田中(滋・慶大大学院教授)先生が(分科会長を)おやりになっているコスト調査分科会がある。その中で議論されたと聞いているが、救急は内科などと違って非常に範囲が難しいということで、コスト調査分科会でもなかなか苦戦をしていると聞いている。
それが今回の調査で、そんな綺麗に、これだけの短期間でうまくいくのかどうか、事務局(保険局医療課)、どうかなと思う。
[遠藤委員長(中医協会長)]
事務局(保険局医療課)、それについて何かありますか。
[保険局医療課・宇都宮啓企画官]
はい、医療課企画官でございます。どのような内容を聞くかにもよるが、単純に補助金を得ているかという程度でよろしいのであれば、項目として加えることは可能ではないかなと思う。
ただ、それ以上、どの程度細かくというところまで......。あまり細かくなると、ちょっと期間も限られているので、その辺の兼ね合いかと思うが。
[遠藤委員長(中医協会長)]
藤原委員、どうぞ。
[藤原委員(日医)]
対馬委員が言われたように、「どこまでを救急とするか」というのは確かに難しい議論だと思うが、救急を議論するという観点からは、そういったこと......。
調査もできるようなので、(調査項目に)ぜひ加えていただきたいと思う。
[遠藤委員長(中医協会長)]
今、「調査ができるようなので」とおっしゃったが、事務局(保険局医療課)は......。(藤原委員が何か言う)
ええ、ですから、具体的に本当に救急部門にどのぐらい補助金が入っているのかどうかを細かくやるのは、なかなか難しいだろうという意味合いだと......。
[藤原委員(日医)]
名目でもいいと思う。
[遠藤委員長(中医協会長)]
事務局(保険局医療課)、何かありますか?
[宇都宮企画官]
医療課企画官でございます。名目というのは......、どのような? 例えば、「何々補助金」を得ているかとか、そのような聞き方ということでございますか?
[藤原委員(日医)]
だから、都道府県あるいは国として、救急医療に対してこれだけ出しているという部分があればという認識だが。
[遠藤委員長(中医協会長)]
「救急に関連した補助金」というものを、「いくらもらっているか」ということが明らかになればいいと、そういうこと。それならば、補足は可能ですか?
[宇都宮企画官]
医療課企画官でございます。ちょっと、私どもも、どのような補助金がどこから出てというのが......。
例えば、医政局が出している補助金ならば医政局に聞いて、そういう項目を(調査する)ということは可能だと思うが、例えが(総務省)消防庁とか、ほかのいろいろな所でも出しているものを想定するということだと、ちょっと、われわれとしても時間がかかってしまうと思う。
むしろ、どういったものがあるかということをお示しいただいた方が、われわれとしては大変ありがたいのだが......。
[遠藤委員長(中医協会長)]
藤原委員、いかがだろうか?
[藤原委員(日医)]
私の方からそれを出すというのはなかなか難しい話だが。
[遠藤委員長(中医協会長)]
分かりました。これはかなり急ぐ話。7月の最終週に調査する予定なので、どの程度のことができるのかという範囲について、事務局(保険局医療課)から出していただくことは可能?
ただ、次回の基本問題小委員会を待っていたら遅れてしまうので、「どういう範囲まで(調査を)やれるか」というはご一任いただいてよろしいだろうか。
(反対意見なく、了承)
では、事務局と分科会長と私で話をして、どの程度のことができるのか、対応させていただきたい。ありがとうございます。
坂本専門委員、どうぞ。
【目次】
P2 → 「出来高病院での調査は必要ないのか」 ─ 全日病
P3 → 「国や都道府県の補助金等を受けている病院も多い」 ─ 日医
P4 → 「救急患者さんに優先順位を付ける体制の調査を」 ─ 日看協