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"良い子"でない配合剤の薬価を引き下げ ─ 厚労省・薬価算定組織

■ 配合剤の取扱いについて ─ 厚労省の説明
 

[遠藤久夫部会長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 それでは議事に移る。本日はまず、薬価算定組織から薬価算定の基準等に関する意見聴取を行いたい。薬価算定組織の加藤治文委員長より説明をお願いしたい。よろしくお願いいたします。

[薬価算定組織・加藤治文委員長]
 薬価算定組織・委員長の加藤でございます。私から、これまで実際に新医薬品の薬価を算定した経験を踏まえて、薬価算定組織としての算定の基準等に関する意見を述べさせていただきたい。

 資料「中医協 薬─1」(薬価算定の基準等に関する意見)をご覧いただきたい。(中略)

配合剤の取扱いについて
・ 2つの既収載品の配合剤に係る最近の薬価算定においては、類似薬効比較方式により、これら2剤の1日薬価の合計との1日薬価合わせにより算定を行うことが多くなっている。

・ しかしながら、当該配合剤たる新規収載品は、製造経費、流通経費等の節減が見込まれるものと考えられる。
 このことから、下記条件に全て該当する配合剤については、既収載品の1日薬価の合計の「一定割合」の価格を基本として算定し、加算可能とする算定ルールを検討してはどうか。

      i ) 全ての配合成分が単剤として薬価基準に収載されていること
     ⅱ) 既収載品と同様の効能効果を有すること
     ⅲ) 既収載品と投与経路が同一であること
     ⅳ) 内用の配合剤であること

・ なお、この場合、配合されている単剤の薬価を下回らないようにするため、 1日薬価が最も高い既収載品の1日薬価を下限とすることが必要である。

・ ただし、抗HIV薬については、複数の薬剤を組み合わせて服用すること|(多剤併用療法)が推奨されており、また、欧米の主要国において、抗HIV薬の価格は、単剤の合計価格と配合剤の価格がほぼ同額であることを考慮し、上記ルールの対象外としてはどうか。

・ また、算定に用いる「一定割合」としては、0.9倍から新規後発品の算定に用いる0.7倍の間が考えられる。

[遠藤部会長(中医協会長)]
 ありがとうございました。事務局(保険局医療課)で何か補足はありますか?

[保険局医療課・磯部総一郎薬剤管理官]
 薬剤管理官でございます。事務局(保険局医療課)から少し補足させていただく。資料「中医協 薬─2」(薬価算定基準が明文化された平成12年4月以降に新薬として薬価収載された配合剤一覧)。配合剤一覧0715.jpg
 今の薬価算定組織の意見書を作るに当たり関係する資料で、配合剤の関係。事務局で過去にどのような配合剤があったかをまとめた資料。薬価算定基準が明文化された平成12年4月以降のものをまとめた。

 加藤委員長から説明があったように、「配合剤」と言ってもいろいろなタイプのものがある。それについて、大きく2つに分類してまとめた。

上の表 → 全ての配合成分が単剤として既収載され、かつ、単剤の有する効能効果及び投与経路が配合剤と同様である配合剤
下の表 → 上記以外に分類される配含剤
 上は1番から10番まで。それ以外が11番から20番ということ。

 下から説明する。例えば11番(カレトラ・ソフトカプセル、カレトラ・リキッド)。これはHIVの薬だが、配合されているが1つはまだ未収載(ロピナビル)、もう1つは既収載(リトナビル)。12番もそのようなもの。13番は両方未収載のものを配合した。

 14番をご覧いただきたい。「ルナベル配合錠」というもの。これは、両方(ノルエチステロンもエチニルエストラジオールも)既収載のものを配合しているが、もともと単剤で収載されているものの適応が......。

 ここにある「エチニルエストラジオール」は、前立腺癌や閉経後の末期早乳癌という適応を持っているが、配合剤の適応としては子宮内膜症に伴う月経困難症。大きく違う適応で、配合剤として承認を取っているものがある。15番も既収載と未収載の組み合わせ。(中略、効能効果が違う組み合わせの注射薬について説明)

 4番から7番はこれまで中医協で大変ご議論いただいている高血圧症の薬で、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)と、ヒドロクロロチアジド(利尿剤)の組み合わせの薬剤(配合剤)。

全ての配合成分が単剤として既収載され、且つ、単剤の有する効能効果及び投与経路が配合剤と同様である配合剤
No.4 プレミネント錠 (萬有製薬)
No.5 エカード配合錠LD・同HD (武田薬品工業)
No.6 コディオ配合錠MD・同EX (ノバルティス ファーマ)
No.7 ミコンビ配合錠AP・同BP (日本ベーリンガーインゲルハイム)
 これらについては、外国でも必ずしも(両者を)足した薬価になっていないという状況が見られる。

 中には、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)と、ヒドロクロロチアジド(利尿剤)の薬価差が非常に大きいこともあり、イギリスやフランスでは配合剤とARBが同価格になっている。

 それから注射剤では、「アトワゴリバース静注シリンジ」(テルモ)の1品目だけ。(配合意義は)「オステクミン使用時のムスカリン作用を防止するためにアトロピンを併用」ということで、(効能効果は非脱分極性筋弛緩剤の)作用拮抗して、ネオスチグミンメチル硫酸塩とアトロピン硫酸塩水和物の)両方を投与する必要があるということで、なされたもの。

 外用剤も事実上1銘柄。「アドエア」(グラクソ・スミスクライン)というもの。これは(気管支)喘息の薬で、外国ではこのような状況(単剤合計価格の63%~119%までさまざま)。(配合剤の)事例がまだ、事実上1銘柄しかない。注射剤と外用剤は事例がまだ少ないというのが内用剤と違うところ。

 このようなデータを見て、先ほどの意見書になっているということ。(中略)

[遠藤久夫部会長(中医協会長)]
 はい、ありがとうございました。ただ今、ご説明があった薬価算定組織からのご意見および事務局(保険局医療課)から提示された資料に関して、ご意見、ご質問はございますか。内容はどの分野でも結構。小林委員、どうぞ。

 【目次】
 P2 → 配合剤の取扱いについて ─ 厚労省の説明
 P3 → 「今後、薬価の高い先発品同士の配合剤が出るか」 ─ 小林委員
 P4 → 「医療上、保険上の必要性を示していただきたい」 ─ 山本委員
 P5 → 「特許が切れる前に出るのかを確認したい」 ─ 藤原委員
 P6 → 「掛け率が妥当かを議論していただきたい」 ─ 長野専門委員

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