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"良い子"でない配合剤の薬価を引き下げ ─ 厚労省・薬価算定組織

■ 「掛け率が妥当かを議論していただきたい」 ─ 長野専門委員
 

[長野明専門委員(第一三共常務執行役員信頼性保証本部長)]
 加藤委員長から説明があった薬価算定ルールの見直しについて、これからさまざまな議論を頂けると承知している。然るべき時期に業界トップの意見聴取の場をぜひおつくりいただければと思う。

 1点、私から配合剤について追加させていただきたい。私は今、企業経営のトップではないので、6月3日に経営トップがこの場で意見を述べさせていただいたものを越えるものは、なかなか発言は、申し訳ないができない。

 確か、あの時に業界代表は「ルールが決まればそれに当然従う」と。「そのルール下で競争する」という趣旨の発言をした。この場は薬価専門部会で、私も薬価専門委員を拝命しているので、この場で私が申し上げられる範囲で言えば、配合剤については、これまでのさまざまなご批判について、私は十分承知しているし、理解している。その立場から、加藤委員長からご説明のあった方向で薬価の算定ルールをご議論いただきたいと思う。

 一方、掛け率、幅について記載があった。

・ 既収載品の1日薬価の合計の「一定割合」の価格を基本として算定
・ この場合、配合されている単剤の薬価を下回らないようにするため、 1日薬価が最も高い既収載品の1日薬価を下限とする
・ ただし、抗HIV薬については、上記ルールの対象外
・ 算定に用いる「一定割合」は、0.9倍から新規後発品の算定に用いる0.7倍の間
 これについて、専門委員としてさまざまなデータ分析が可能だと思うので、お認めいただければ、然るべき時期に分析データをご提供して、どういう掛け率が妥当なのかという議論を進めていただきたいと思う。

[薬価算定組織・加藤治文委員長]
 大変貴重な意見を頂き、ありがとうございます。その意見を参考にして、今後大いに検討したいと思う。

[遠藤部会長(中医協会長)]
 ありがとうございます。山本委員、どうぞ。

[山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)]
 今のお話、しかと承った。トップ(の発言)を越えられないというお立場を十分理解して申し上げると、「ルールに従う」と申された理解はあるが、ただ、後発品の使用促進については、(専門委員の)責任ではないというお話だった。

 とりわけ、今日の資料(薬価算定基準が明文化された平成12年4月以降に新薬として薬価収載された配合剤一覧)に載っている(1~20の配合剤のうち)1から10番(全ての配合成分が単剤として既収載され、且つ、単剤の有する効能効果及び投与経路が配合剤と同様である配合剤)と、11~20番(上記以外に分類される配合剤)を比べると、11~20番までは比較的工夫された配合剤だと思う。

 1から10番までは、それぞれ工夫はされているのだろうが、とりわけ4番から7番(ARB と利尿剤の配合剤)は、必ずしも"良い子"ではないと思う。筋目としては。

 そういった意味で、値付けのルールには従うというお話があったが、では、そもそも問題となっている後発品の使用促進についてどうかと言うと、(6月3日の業界ヒアリングでは)「それはなかなかできないですよ」というお話だったと理解している。そういう理解でよろしいだろうか?

 ▼ 長谷川閑史・日本製薬工業協会副会長(武田薬品工業(株)代表取締役社長)は6月3日の薬価専門部会で次のように述べた。「(先発品が)後発品にスイッチされることについて、全く異論はない。ただ、企業として、それ(後発品)の促進に努力することを、ここでコミットすると理解していいかと言われると、『No』だ。それは、われわれの会社の存在の目的に反する訳だから、それをここで『コミットしろ』と言われても、新薬メーカーの社長としては、できない」

[遠藤部会長(中医協会長)]
 長野専門委員、どうぞ。

[長野専門委員(第一三共)]
 6月3日の業界トップの発言は、ルールを順守する前提で、その後は自由な競争をやっていくという趣旨だと理解している。

[遠藤部会長(中医協会長)]
 よろしいだろうか? 山本委員、どうぞ。

[山本委員(日薬)]
 ルールはルールだから、ルールの中でおやりになるのは構わないが、その(ヒアリングの)時に申し上げたのは、「むしろ邪魔をしないでいただきたい」ということを申し上げた。それについてお答えがなかったと思う。今のお話を伺っていると、「この価格には従うけれども後は知らないよ」と聞こえるので、そこは承伏しかねる。

 ▼ もっと別の切り口はないのか。先発品メーカーが自らの首を絞めるはずがないので、後発品の使用促進に協力しないのは当たり前。

[長野専門委員(第一三共)]
 私は後発品の使用促進の賛成派です、当然。そういうことで、企業経営決定に基づいてご説明できるところと、私がこの場で説明できることとはかなりギャップがあるので、お許しいただきたいと思う。

[遠藤部会長(中医協会長)]
 あくまでも、「業界を代表して」というお立場ではないので、実質的にはそのような機能を果たしていただいているが、そういうお立場ではないので、これ以上は......。

 山本委員のおっしゃることもよく理解できるので。ほかにもご意見があるかと思うが、本日は結論を出すということではないので、薬価算定組織から出していただいた提案を基本に考えながら、今後、当部会として審議を進めていきたいと思うが、それでよろしいだろうか?

 (反対意見なく、了承)

 はい。ありがとうございます。加藤委員長におかれましては、長時間ありがとうございました。(以下略)

 
 (この記事へのコメントはこちら

 
 
 【目次】
 P2 → 配合剤の取扱いについて ─ 厚労省の説明
 P3 → 「今後、薬価の高い先発品同士の配合剤が出るか」 ─ 小林委員
 P4 → 「医療上、保険上の必要性を示していただきたい」 ─ 山本委員
 P5 → 「特許が切れる前に出るのかを確認したい」 ─ 藤原委員
 P6 → 「掛け率が妥当かを議論していただきたい」 ─ 長野専門委員

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