薬価維持特例の試行的実施に向けて (2) ─ 中医協・薬価専門部会
「仮に足を踏み出すのであれば、恐る恐る石橋を叩きながら」─。中医協の支払側委員が薬価維持特例の「試行的実施」に賛同した。クリアすべき課題は残っているが、厚生労働省が「試行的実施」を打ち出したことで「カウントダウンは既に始まった」との見方もできる。(新井裕充)
新薬の価格を一定期間引き下げない仕組み(薬価維持特例)を柱とする製薬業界の薬価制度改革案について、7月15日の中医協・薬価専門部会で厚労省が示した論点整理には、「試行的な実施ということも検討してはどうか」との提案が盛り込まれた。
これは、一定の条件付きで導入することに厚労省がゴーサインを出した意味を持つとも言える。ただ、同日の質疑で日本医師会の委員は相変わらず反対姿勢を崩さなかった(P2を参照)。
しかし、日本薬剤師会の委員は「ここまで(厚労省が)踏み込んだのだから、ぜひ、この制度を通すとすれば、もう少しご説明していただいた方が皆さん納得できる」と述べ、これまでよりも柔軟な姿勢になっている(P3を参照)。
一方、支払側の委員は「メーカーにとっても大変重要だが、われわれ中医協で薬価を預かっている立場としても非常に重要なので、ここに(試行的な実施と)書いてあるように、仮に足を踏み出すのであれば、恐る恐る石橋を叩きながらということが必要だろうと思うので、ご議論をお願いしたい」と求めた(P4を参照)。
医薬業界を代表する専門委員は、「日本に研究所を持っていた外資のほとんどがシンガポールや中国に研究所を移転している。筑波にあった研究都市から外資系メーカーがいなくなった」と指摘。「イノベーションを評価しようというのが政府の1つの考え方。それをバックグラウンドにして、この提案がされている」と訴えた(P5を参照)
※ (1)はこちらをご覧ください。
また、6月3日の業界代表のヒアリングはこちらをご覧ください。
【目次】
P2 → 「現行制度で国内メーカーが経営難に陥るのか説明を」 ─ 中川委員
P3 → 「十分に理解できていないので、もう少し説明が必要」 ─ 山本委員
P4 → 「仮に踏み出すなら、恐る恐る石橋を叩きながら」 ─ 対馬委員
P5 → 「イノベーションの評価がバックグラウンドにある」 ─ 松谷専門委員