薬価維持特例の試行的実施に向けて (2) ─ 中医協・薬価専門部会
■ 「十分に理解できていないので、もう少し説明が必要」 ─ 山本委員
[山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)]
(厚労省が)まとめた「薬─3」(論点整理案)について。中川先生のご指摘のように、「薬価維持特例を導入する必要性」について、私も薬を扱いながら恥ずかしいのだが十分に理解できていない。ここはまた資料などで説明が必要だと思う。
論点2以下をどうとらえるかについては、これまでよりもさらに踏み込んであるし、「患者等へのメリットを確保するための方策」では良い会社と悪い会社をきちんと明確に分けて、どう評価するかという所まで踏み込まれているので、それでいいと思っている。(中略)
① 製薬業界は医療上必要性の高い未承認薬・未承認適応についてその開発・上市を目指すとしており、その実効性を担保する方策として、定期的に中医協にその進捗状況を報告することとしているがそれでよいか。ただ、もう一度皆さんの前で(未承認問題の解消などを進めることを)きちんと担保できないと、理解が進まないという気がする。
報告の結果、国が要請した未承認薬・未承認適応の開発・上市を適切に進めていない企業については、薬価維持特例の対象品目があっても、当該品目への薬価維持特例の適用について厳しい対応を考えざるを得ないのではないか。
② ドラッグラグを起こさないよう、我が国での開発・上市を適切なタイミングで行っていることや、古くから使われるなどして採算性が悪くなっているが医療上必要性の高い医薬品の安定供給を適切に行っていることについて、薬価維持特例の適用を考える上で、特段の評価を検討できないか。
この仕組み(薬価維持特例)は財政的にも影響が出てくる問題なので、そう軽々には判断できないことはよく分かる。もし、進める気持ちがあるなら、もう一度、トップの方から「こういう形で進むぞ」ということを説明していただきたい。
もう1点。外資ばかりが日本に入ってくると、保険医療で使うお金がみんな外に出て行ってしまうということなので、それは日本として好ましいことではないと思う。
国内の企業が医療に貢献するという形が必要だし、さらに言えば社会的貢献をするということで、この仕組みがどうであれ、(がん等の重篤な疾患やHIV等の希少疾病など)アンメット・メディカル・ニーズ(の高い領域)を含めた適応外、未承認(薬・未承認適応)に努力するならば、もう少し明確にしていただきたい。
「海外で儲かってるんじゃないの」ということが、(中医協委員の)皆さんの一番の不安事項だと思うので、ここまで(厚労省が)踏み込んだのだから、ぜひ、この制度を通すとすれば、もう少しご説明していただいた方が皆さん、納得できるのではないかという気がする。
そこはぜひお願いしたいし、そういう(業界代表ヒアリングの)場をつくっていただきたい。
[遠藤部会長(中医協会長)]
ともかく、まだ十分理解できるだけの材料が足りないということは共通したご意見だと思う。北村委員、どうぞ。
【目次】
P2 → 「現行制度で国内メーカーが経営難に陥るのか説明を」 ─ 中川委員
P3 → 「十分に理解できていないので、もう少し説明が必要」 ─ 山本委員
P4 → 「仮に踏み出すなら、恐る恐る石橋を叩きながら」 ─ 対馬委員
P5 → 「イノベーションの評価がバックグラウンドにある」 ─ 松谷専門委員